蒼の魔剣 その5
「ねぇ蒼の剣。いろいろ質問していいかな?」
心の中だけで会話をするのも違和感があるので、あえて言葉にして話しかける。
それと、ここにいるガブリエルとデスサイズに蒼の剣と意思疎通が出来ることを見てもらう為でもある。
「正直な話。あなたって私よりだいぶ強いよね?それもかなりの差がある感じで」
思っている事をそのまま口にした。
別に嫉妬や妬みから出た言葉ではない。
「正確な回答を出すのであれば答えはノーです。私の原動力になっている力はマスターの魔法力なのです。マスターの力の供給がなければ私は頑丈なだけの剣に過ぎません。マスターが自身より私の方が優れていると印象を持っているとするならば。それは私の『出来ること』の種類が多いということではないかと考えます。ただ、それらは全てマスターの為だけに行使できる力なのです。よって私の力はマスターの力の一部に過ぎないという結論に辿り着きます」
私の為に……
元々蒼の剣は、神から授かった悪を討ち滅ぼす為の聖なる剣。
それが、私の力が足りないばかりにこの子まで闇の魔剣へと堕としてしまった。
それなのに……この子は、こんな私の為だけに存在してくれているというのだ。
「うん、わかった。ありがと。あと、今みたいに意思疎通できるまで進化したといのは、あの魔導具のせいということでいいのかしら?」
「あの魔導具は、ただのきっかけに過ぎません。あくまでパワーの上昇については、今日までマスターと二百年以上共に戦ってきて得られた経験値によるものです」
そっか。
思い返せば、出会ってから蒼の剣には頼ってばかりだった。
力に目覚めたばかりで未熟だった頃。
私をずっと護ってきてくれた。
私の思い通りに目の前の敵を全て退けてくれた。
そりゃ私より強くなるわけだよね。
「ありがとね蒼の剣。これからも、ずっと私と一緒にいてね」
「承知しています。私の存在は、あなたと共にあります。私はあなたの障害となるもの全てを、取り除く剣です」
やっぱりだ。今までも。これからも。この子は私の一番のパートナーに違いない。
「本当ににありがと。さぁ部屋に戻りましょ。今日はあなたの事。いつもよりピカピカに磨いてあげるから」