シャルル・フォスター その2
「おはよ。フレデリカ」
目を開くと最初にシャルの微笑んでいる顔が目に入ってきた。
「おはよぉ……シャル……目が覚めて、いきなりシャルがいるのって新鮮ね。目覚めがいいかも……同棲しようかな……」
「ほら、バカ言ってないで起きなさい。シチューのお礼に今朝は私が朝ごはん作ってあげる」
「わーい。シャルの手料理だ」
「はいはい。今日お休みでしょ。私もだからどっか出かけない?」
「ほんと?行く行く!」
「フレデリカって私にはやけに素直で甘えてくるよね。まぁ、いいけど」
シャルは面倒見がいいから、つい頼ってしまう。私が男だったら絶対シャルをお嫁さんにするなぁ。
それから私達はシャルお手製の朝食をたいらげ、街にくり出した。
シャルは、ほとんど部屋着に近い格好で私の部屋に来たので、洋服は私のを貸してあげた。幸いにも体型は似ているので問題なさそうだ。ちなみに、胸のあたりがきついとかいう嫌味を言われたが、とりあえず無視しておいた。
お休みとは言え、タンクに事前申請なしの遠出は認められていない。
よって近場でお買物が多くなる。
それとタンクの私達にはケーブルを差し込むジャックがあるから、それを隠さないといけない。アクセサリーや露出の少ない服を着る。とりあえず二人とも今日は布製のリストバンドと襟付きの服で隠している。
どうしてもジャック付きの人間は好奇の目で見られる。特に首のジャックは一般人には付いていないものだ。
小型の自動車で10分ほど走れば大きめの市場がある。
軍に卸している商人も多いけど旅行客目当ての商店もあったりする。そういうお店にはおしゃれな小物を扱っていたりするわけで。
「ねぇーシャル。このバングル可愛いよ。私買うからお揃いにしよっ。ちょっと試着してみて」
木製のバングルを見つけた。レリーフが彫刻された白いバングル。両手のジャックを隠すから一人二個。
「うん、かわいい!でも自分で買うから大丈夫だよ。結構お値段するよこれ」
「いいの。昇進のお祝いだから。お祝いさせて」
「うーん……いいのかな?じゃあお願いしちゃおうかな。ありがと。すごい嬉しい!」
「うん!じゃあ買ってきちゃうね。ちょっと待ってて」
無事に合計四つ分支払いを済ませ、シャルにプレゼントする。自分はすでに身につけている。
両手に付けるのはどうかなぁと思ったけど意外にしっくり来ている。もちろんジャックも綺麗に隠せている。
「うん。シャル似合ってるよ。可愛いよ」
「ありがと。フレデリカも可愛いよ」
こんな感じで自分以外の人の為に買い物をしたのは初めてかもしれない。ホークにもこんな風に贈りものはした事がない。
自分が思っている以上にシャルは大切な友達なんだと今回のホークの件で気付かされた。
「シャルー!ありがと!」
「なんでフレデリカがお礼言うの。変なの。ふふっ」
その日は夜まで二人で過ごした。
食事も市場の屋台で済ませた。
そしてシャルと私は、再び血煙あがる戦場に戻っていった。