番外編 新章序章 魔界での戦い その11
「まぁ、このやり方が手っ取り早いと思ったからですよ。私もちゃんと手伝ったでしょ?」
たしかに。
彼も、私に群がる刺客を片付けてくれてはいたが。
「まぁ結果的に目的は果たせたけど。一応お礼は言っておくわよ。ありがと」
「どういたしましてフレデリカ。さぁ。この辺りでいいでしょう。降りて尋問するといたしましょう」
「ちょっと。仕切らないでよね」
なんか最近、この天使のペースに乗せられている気がする。
天使は、私の言うことなどお構いなしに降下していく。
どさっ
天使は地に足をつけると同時に、担いでいた魔族を地面に放り投げた。
「ちょっと。もっと静かにおろしてあげなさいよ。可哀想でしょ」
「そうですか?敵ですよ。そんなことより始めましょう」
「はいはい。それじゃあ早速……おじゃまします」
気を失っている魔族の頭に右手を乗せる。
五本の指全てから均等に魔力を流し込む。
魔族の記憶を探るのは初めてだけど、人間と同じ構造の脳みそらしく、すんなりと脳を支配する事ができた。
「さぁて。早速…………って……うわっ!やだっ勘弁。…………この魔族……魔王の……」
「どうしたのですフレデリカ。顔が赤いですよ。それに心拍数も上昇しています。意識が逆流して汚染されましたか?それならばせめて、私が介錯をして……」
「どさくさに紛れて私を殺そうとしないで。っていうかデスサイズって女性じゃない。ちゃんと教えといてよ。変なビジョン見せられちゃったじゃない」
「私も魔界の王が女だとは知りませんでしたよ。まったく。何を覗き見たのですか?それよりも肝心の情報は引き出せたのですか?」
「えっ?ああ大丈夫。残念ながらあなたの言ったとおりだったわ。もう……どうしよう。人間界に逃げちゃおうかな。最悪だ。もう」
「それだと人間界まで追手が来てしまいますよ。本末転倒ですね」
「わかってるわよ。言ってみただけじゃない。でもこうなると……」
頭の中で考えを巡らすが、最善の方法が一つしか思い浮かばない。
嫌だよぉ。面倒だし時間もかかるだろうし。人間界に戻るのが、さらに遅くなってしまう。ニーサちゃんの報復怖いよー。