番外編 新章序章 魔界での戦い その9
私の命が狙われていた事には、なんとなくは気付いていた。
だけど何のために?
「魔神ペンギュラムデスサイズですよ」
魔神ペンギュラムデスサイズ?さっき話していた魔界の王の名前だ。
でも私は面識も何もない。赤の他人だし。
「そんなひと親戚にもいないのだけど」
「ちょっと。わからないなら少し口を閉じて話を聞いてください。もう結論から言ってしまいますが、現魔界の王は次期も王の座を狙っているわけです。そして、王の座への大戦が始まる前に力を持つ邪魔者を消してしまおうというわけです。わかります?」
「えっ?別に私、王様とかになりたくないけど」
「そんな事はヤツにとっては関係ないのです。デスサイズは可能性のある者を、片っ端から暗殺しているわけなんです。そこで提案です。フレデリカ。貴女、王様にならないですか?」
何言ってるんだこいつ。
「ねぇ。天使。話が加速し過ぎて捉えられないわよ。なんで私がそんな大型イベントに参加しなきゃならないのよ。それに話聞いてなかったの。王とか魔界とかに私は興味ないの」
「まぁ話は最後まで聞いてください。フレデリカにとって、とても利益のあるのです。聞きたくないですか?」
なんだ?なんか胡散臭い商人みたいな口調と空気になってきた。
「何と言おうと嫌よ。帰らなきゃいけない場所あるし。そんな事で無駄な時間を過ごしている暇ないのよ」
「デスサイズが人間界に攻め込もうとしているとしてもですか?」
……ったく。この天使は私が無視できないワードをよく知っている。一年以上も一緒にいたのは間違いだったかもしれない。
「そんな作り話したって。私が信じると思うの」
「いえ。別に信じなくてもいいですよ。今は。では服が乾いたら地上に上がりましょう。突っ立っているだけでも情報を持った刺客が勝手にやって来ます。彼等の口から直接聞いてもらえれば、本当か嘘かわかるはずです。すでに貴女の強さは、この世界が放って置けないほどのレベルまで来ているのですから」