番外編 新章序章 魔界での戦い その8
現在の魔界を支配している王の名は……
『魔神ペンギュラムデスサイズ』
人型の魔族で、巨大な鎌を振子のように操り、あらゆるものを切り裂くという。魔法よりも愛用の巨大鎌で目の前にいる敵の命を刈り取る。
彼は二十年前。魔界の全ての頂点に立ち、そして王となった。
『ペンギュラムデスサイズ』は彼の二つ名であり、『魔神』は自ら付けた名である。
彼は、三十年に一度の王位争奪戦の勝者になったのである。
争奪戦のルールはシンプルにたった一つ。
この世界で一番の強き者になること。
王の立候補者同士は、一対一の闘いを強いられる。
敗者は命を奪われて、争奪戦から脱落となるのだ。
そして……
あと数週間で、その三十年が経つ。
再び、王位争奪の覇権を争う時がやってくる。
「……というわけなのです。わかりましたか?」
「全然わからないわよ!これから王様になる為の戦いが始まるみたいな事はわかったけど。私関係ないし。上級魔族に襲われる謂れもないし。はっきり言って嫌なんですけど。もう殺し合いとかしたくないんですけど」
別に、この天使が悪いというわけじゃないけど、怒りをぶつけるところがないので、とりあえず天使に矛先をむける。
「嫌と言うのは自由ですが、向こうは全力で貴女の命を取りに来ますよ」
「だ・か・ら!何で私が命を狙われなきゃいけないかって聞いているの!あと、解決策があるなら教えてよ。何か考えがあるから私の力を測ったんでしょ?」
正直、最近発生する意味のわからない戦闘にはゲンナリしている。
食事中や睡眠中も、関係なしに襲われる。まぁ、休む時は結界張ってるからマズイ事態にはならないけど。
「フレデリカ。『お願いします』が聞こえませんよ」
コイツ……命の恩人に対して。
「………………お願いします。私にもわかるように説明してください……くっ」
もしかして私……血の涙を流しているかもしれない。
「最後の一言が気になりますが。まぁいいでしょう。魔力量しか能の無い貴女にも理解出来るように説明してあげましょう」