シャルル・フォスター その1
シャルル・フォスター。
何かのミーティングでたまたま隣の席になった女の子。
年は私と一緒だし、すぐに仲良くなった。
黒髪もつやつやで綺麗だし、スタイルも私よりも少しだけ……ほんの少しだけ良くて。同性なら誰でも憧れちゃう女の子。そのくせ努力も惜しまない。ほんと素敵。
「いいなぁフレデリカ。お風呂が広いのは本当に羨ましい。私の部屋なんでユニットだよ。こんな感じでゆったりお風呂に浸かれるなんて幸せだよ。二人で入ってもこの余裕スペース」
手の平でお湯をパチャパチャともてあそびながら愚痴をこぼす。
「でもシャルも特級に昇進だしお部屋変わってお風呂大きくなるよ、きっと」
「そっかな!そしたら彼氏招いて一緒にお風呂でキャッキャできるのかな?よーし頑張ろ。さぁ、フレデリカカラダ洗ってあげる。出て出て」
「じゃあ、お部屋変わる前に彼氏見つけないとね。あとカラダは自分で洗うから結構です」
「えー!女の子同士だし、こういうのって普通カラダの洗いっこするでしょ。『きゃあ、そこ違うー』みたいな」
「それは前回やられたから大丈夫だよ、まったく」
『洗いっこ』とやらをしたせいで、何かこの子とは一線を越えてしまった気がする。いや越えてないけど。
「それでフレデリカ。彼氏とはどうなったの?仲直りできた?」
「ホークは彼氏とかじゃないから!付き合ってもいないし。フラれたし。もう好きじゃないよ」
「そうなの?じゃあ正式に特級に昇進したらホーク司令のタンクに立候補しちゃおうかなぁ」
「なっ⁉︎だ、駄目だよ!あの人忙しいから、そういうの無理だから……」
「なんだ。やっぱり今も好きなんじゃん。わかってたけど」
「シャルぅ。意地悪言わないで。私だって、どうしていいのかわからないんだから。気まずいけど任務だから一緒にいなきゃならないし……」
「いいんじゃないかな、それで。フレデリカはあの人の事が大好きなんだから。司令もフレデリカの気持ち知っているみたいだし。考える時間を待ってあげれば、ちゃんとした答えを出してくれるよ。私はフレデリカの親友なんだから何でも相談して。私はフレデリカの味方だ……って泣いちゃだめだよ。よしよし大丈夫だから、ねっ」
「ううう……シャルは優しいよー私の事見捨てないでよ。ずっと友達だからね」
「大丈夫だよ。フレデリカの花嫁姿は見届けたいし。ずっと友達でいようね」
「うん!絶対!」
私は嬉しくて、涙でぐちゃぐちゃの顔のままシャルに抱きついた。