エンディング…… その4
「ちょ、ちょっと。私の心臓が止まりかけた。おっ死んじゃうかと思った。はぁはぁ……ニーサさん急に現れるの心臓に悪いですよ。瞬間移動ですか?全然気配とか気とか感じなかった」
最近わかってきた。
この黄色の勇者はワザとやっている。
対象を驚かせる為に、意図的に気配を消して完全ステルスで近付いてる。
「タマヨリちゃんゴメンね。驚かせるつもりなんて全然ないよ。ただ、こんな早朝から二人で仲良く何をしているのかなぁって。ちょっと気になっただけだよ」
寝起きのまま出てきたせいか、髪が跳ねまくっている。
服装も寝巻き用のショートパンツとシャツだ。
昨夜は裸のままベッドに寝かせたから起きてから身に付けたのだろうけど。
「おはようニーサちゃん。昨夜は大変だったね。裸のまま寝かせちゃったけど風邪引かなかった?」
「タマヨリちゃん。私もまぜてよ。私もサシの勝負なら、ちょっとだけ自信あるんですよ」
えっ?私のこと無視?
あっ……もしかして私のことでタマヨリに嫉妬しているの?
まさかね。
「ニーサちゃん。よかったら私と手合わせしない?タマヨリって、こう見えて近接戦闘の達人だからさ。まずは私で慣らしてからの方が……」
「大丈夫ですよ。フレデリカさんのことは後で、たっぷり可愛がってあげますから。ねっ」
最後の『ねっ』のところでウインクを発動してきた。
本当に可愛いなぁニーサちゃん……じゃない!
もしかして、昨夜の強制的に寝かせた事を怒っている?
「いいですよニーサさん。私も手加減なしでいきますからね。私もサシの勝負なら…………きゃあ‼︎」
えっ?
タマヨリが後ろを取られた?
私だって、タマヨリの背後をとるなんて一度も成功したことない。
でも、今のはスピードじゃなくて……
「タマヨリちゃん。大丈夫だよ。怪我とかしない技を使うから。今のは相手に直接触れて打ち込む接射魔法だよ。十八種類の感覚がランダムで発生する戯れ魔法だよ。でも痛いとかの苦痛系は発動しないから安心して大丈夫。ちなみに私が自作した魔法だよ。あまり役に立つことはないけどスゴイでしょ?」
戯れ魔法って何?
「じゃあ続けていくよ。タマヨリちゃん。本気出していいからね」
ちょっとニーサちゃん……あれ?消えた。
やっぱりスピードじゃなくて、完全ステルスで移動している。ニーサちゃん本気できている。
「タマヨリ!今のニーサちゃんを捉えるのは不可能だから全方位をガードできる防御を…………」
アドバイスしようと思ったけど手遅れだった。
タマヨリは両手と両膝を地面につけて悶えている。
「に、ニーサさん!もう許して!私の負けですから……あっ!ちょっと!今の感覚ヤバいですって!ゴメンなさい!そこ弱いんですからぁ!くすぐたいの駄目なんですって!」
タマヨリも、それなりに美人だ。
美女が四つん這いで悶えている光景は、なんかわかんないけどスゴイものがある。
気がつけば、ショウナン国の巫女は地面にうつ伏せで倒れ痙攣していた。美人が台無しだ。
「フレデリカさんお待たせしました。次は私と手合わせお願いしますね」
もう笑顔が可愛いなぁ。
気配もなく背後を取られるのは怖いけど、その笑顔で帳消しだよ。
「ニーサちゃん。あの……お手柔らかに……えっと……お、お手柔らかに楽しくやりましょうね……」
「はい!大丈夫ですよ。フレデリカさんには優しくしますから大丈夫です。ねっ」