決着 その6
天使の気配を覚えて感知出来るようになってから、圧倒的に効率がよくなった。
瞬間移動で転移して、そのまま不意打ちで剣を振り下ろす。
卑怯かもしれないけど、そんな悠長なことなんて言っていられない。
再び、みんなと別れてから五時間。
残りの天使は……えーと……残り五人だ。
しかも残っているのは下位の天使だけ。
数時間あれば終わる。
ザシュ!
これで、あと四人。
天使とはいえ見た目は人間なのに。
こんな事にも慣れてきてしまった。
体を切り裂いても血が出ないからだろうか。
キラキラと光の粒子を撒き散らして消えていく。
それが何か幻想的で、逆に美しく感じてしまう。
「次……」
夜も深い。星の光が唯一の灯りだ。
ここも本来なら、街の灯りで昼間の様に明るく賑やかな光景が見れるはずなのに……
ないとわかっていても今一度、目で確認してしまう。
そこには、元々が何であったかもわからなくなった瓦礫が広がっているだけなのに。
「あれ?天使の気配が四つ……全てかたまって……」
協力して私を排除しようというのだろうか。
残り四人の天使の気配が一箇所に集まっている。
いまさら……
しかも下位の天使が集まったところで、今更どうしようもない。
「こちらの手間が省けて……」
あぁ……嫌だなぁ。
もう完全に慣れてきてしまった。
天使とはいえ、姿は人と変わらない。
それをあたりまえの様に斬れるようになってしまっている。
私なんて神様から見ても人間から見ても厄介者なんだろうな。
もう私の味方をしてくれる人なんて何処にも……
だめだ!こんな事言ったら、ニーサちゃんに怒られてしまう。
「だぁぁぁぁ!」
余計な考えを雄叫びで振り払う。
そうだ。早く終わらせてしまおう。
嫌な想いを無理矢理心の中にねじ込む。
「ううぅ……」
痛い……痛いなあ。
この心の痛みは私がまだ私が人である証だ。
喜ばしい事だ。だから泣く必要なんてない。
「これで最後……」
天使の集まる座標に意識を飛ばす。
美しく広がる星空が消える。
かわりに現れたのは、どんよりとした雲が空を覆い尽くす、不気味な空だ。
体の向きを真後ろに変える。
そこには、驚愕と恐怖が混じった表情の天使が四人立っている。まるで悪魔を見ているかの様な……って間違ってはいないか。見た目は四人とも私と同じくらいの歳の女の子だ。実際には私より全然年上なんだろうけど。
「もう……やりづらいなぁ。嫌だなぁ……」
なんだ。全然慣れていないじゃないか。
私の嘘つき。
天使を殺す事なんて容易くできると思っていたのに。
「ごめんね。四人とも怖くない様に終わらすから。ジッとしていて」
ここまでお読みいただきありがとうございます。
気に入っていただけたら、下にある星マークから評価や、ブックマークをよろしくお願いします。
三連休で投稿あいちゃいました。
待っていてくれた方申し訳……って、そんなんいないか笑




