決着 その5
「きゃあ!」
黄色で短い悲鳴がこだまする。
この子は大人になっても可愛い。
「……って、フレデリカさん!びっくりするじゃないですか!天使か何かかと思いましたよ!急に現れないでくださいよ……って叡智ちゃん?ほんとに叡智ちゃん⁉︎すごい!久しぶりだね!何処に行ってたの?元気だった?」
「は、はい、ニーサ様。ごきげんよう……です。お久しぶりですね。お美しく成長されて。ニーサ様もお元気でしたか?」
矢継ぎ早な質問に、流石の叡智さんも反応が遅れた。しかも黄色の勇者の質問に一つも答えられていない。
でも二人とも、とても嬉しそう。
私も嬉しい。一瞬、あの頃に戻ったのかと錯覚するほど、優しくて温かい空気が流れていた。
「フレデリカさん。それよりも……」
なぜか黄色の勇者の頬が膨らんでいる。
何か不服そうな……怒っている?
「なんで二人とも見た目があの頃のままなんですかぁ?なんか私だけ年とったみたいになっているんですけどぉ。私だけ、おばさんになったみたいでズルいんですけどぉ」
他の女子だったら煩わしい喋り方でも、ニーサちゃんが喋ると可愛い。この子こそ本当の天使ではなかろうか。
「これはね。正直よくわからなくて。まだ調べている途中で。それよりも、早く天使たちを何とかしないと。一番強い一級天使は倒したけれど、二級とかも手強いと思うの。だから……」
「フレデリカ様……」
「んっ?どうしたの?叡智さん」
「二級から四級までの天使は、あたしたち聖騎士で倒しましたので大丈夫です。残っているのは五級以下です。今のフレデリカ様なら余裕をもって闘えると思います」
二級天使も相当手強い相手だったはず。
きっと叡智さんの策を用いて、閃光さんと盾さんの連携で倒したに違いない。
閃光さんの瞬間的な攻撃力は私より上だ。
希望が出てきた。
残りの五級以下の天使なら私一人でも出来る。
聖騎士たちのおかげで世界が救える。
大きな傷を負ってしまったけど……時間はかかるかもしれないけど……この世界は元の姿を取り戻すことができるはず。
私の存在が原因で、こうなってしまった。
どんなに時間がかかるとしても、復興の為に私は尽力する。
その為には……
「ニーサちゃん。叡智さん。私、残りの天使を天に還してくるね。二人も困っている人がいたら助けてあげて」
「フレデリカさん……」
「そんな顔しないでニーサちゃん。安心して。すべて終わったら必ず帰ってくるから。じゃあ行ってくるね」
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