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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第五章 ゴッドブレス
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決着 その4


 天使との闘いに勝ったのに。なんだろう……この敗北感。

 お城や民家、商店街とか全部なくなってしまって、普段なら見えない筈の地面の端っこが見える。

 あの天使。徹底的に何一つ残さず破壊していった。


 太陽が地平線に落ちていく。

 空が真っ赤に染まっていた。

 いつもなら『綺麗』とか『美しい』とか、ありきたりな感想が口から出るのだろうけど、今は血の色を連想させる空の色だ。決して()()()あたりまえな言葉なんか出てこない。

 

 魔力フィールドを展開させ、辺りを探る。

 フィールドの領域内に人の反応はあるが、()()()()()人は、一人も感じられない。

 こんなに広い街なのに正真正銘、人っ子一人いない。

 

「こんなに多いと……お墓もつくってあげられない……ごめんなさい……ごめんなさい」


 そうだ。一度ニーサちゃんのところに戻らないと。必ず戻るって約束した。これ以上彼女のことを裏切ると、本当に嫌われてしまう。


 回復薬で体力も全快したのに体が重い。

 

「ニーサちゃんを探さないと……」


 魔力フィールドの領域を一気に拡大させる。


「あっ……」


 生きている人の反応を感じる。

 逃げ延びた人がいてくれた。

 少ないけど生き残っている人は確かにいる。

 まだ希望は残っている。

 彼らがいれば……彼らが生き延びてくれれば、きっとこの世界も立ち直れる。


 なんか涙が溢れてくる。

 この涙は、後ろ向きな涙じゃないから我慢しなくていいよね。誰もいないし……

 

「ぐすっ……ううっ……」


「何泣いているんですか?フレデリカ様」


 後ろから声が聞こえた。

 あれ?この声……知っている声。私の大好きな人の声。

 最後に会ってからそんなに時間は経っていない筈なのに、もう何年も聞いていない気がする。

 やばい……本気で、泣いちゃいそう。

あとから『泣き虫』だとか、からかわれるのが目に見えている。


「うわわぁ!えいじさーん!会いたかったよー!」


「何言ってるんです。あたしたちを置いてけぼりしたのフレデリカ様ですよ。しかもそんなに号泣して。相変わらず泣き虫ですね。精神的に強くならないと駄目ですね……ぐすっ」


 そこには叡智の聖騎士が立っていた。

  

「うぅ……あなただって泣いているじゃない。人のこと言えないわよ……まったく」


 よかった。無事でいてくれた。

 彼女が無事なら安心だ。みんな生きてくれてる。

 

「よかったよー!」


 小さな聖騎士の体を抱き寄せた。 

 そして、その小さくて華奢な体を力一杯抱きしめた。




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