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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第五章 ゴッドブレス
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決着 その3


「クソ魔王め……よくも私を落としたな。こんな薄汚れた……下卑た生物しかいないところに!」


 今までの丁寧な口調が、面影もないほどなくなってしまった。

 これが、この天使の本来の姿なのかもしれない。

 まぁ今までの()()()を見下した様な口調は、生理的に気持ち悪かった。こちらの神経に入り込み、嫌悪を撒き散らす。だからこの乱暴な言葉づかいの方が好感が持てる。

 

「ねぇ?あなたは、この魔界で斬られたとしても天界に還れるのかしら。できたら殺したくないの。それだけが心配なのだけど」


 私も、天界のルールやシステムはわからない。

 今までの天使は、人間界で消滅させられても還れると言っていた。だから躊躇なく斬ることができたのだ。

 ここ魔界ではどうなるのだろうか。

 できたら確実に天界に還せる様に、人間界に連れ帰ってから光にしてあげたいけど、()()()じゃ勝てないからなぁ私。


「知らん!こんな世界で消滅した天使など聞いたことがない。くそ!腕が再生しない。くそがぁ!」


 どんどん天使の言葉が乱暴になっていく。

 ここまで乱れてくると、せっかく持てた好感が消え去りそうになる。


「ごめん。あまり時間がないから、もう終わらせてしまうけど、恨むなら神様を恨んで。あなたが天界で再生されることを祈ってる……ってあれ?敵対してる神様に祈るって……なんか変な感じ」


「ふざけるな!このオレが貴様なんぞに……うわああああ!」


 蒼の剣が天使の体を二つに斬り分けた。

 切り口から溢れる様にキラキラとに光が溢れ出し、次第に、全てが光の粒子となって消えた。

 消滅の仕方が他の天使と一緒だ。

 ちゃんと天界に戻れたのではないか。そう信じたい。

 

 少しだけ、空の高いところへと昇る。

 下は砂だらけの砂漠だけど、ずっと遠くに目を向けると海らしきものが見える。

 ちゃんと空もあるし、ここは人間界とほぼ変わらない。

 徹底的に弱肉強食な世界だけど生物はちゃんと生きている。

 まだ細かいところまでは探索はできていないけれど、言葉をあやつる知性のある種族も確認できた。

 こっちの世界なら、こんな私でも受け入れてくれるのだろうか。

 

 おっと。今はこんな感傷にひたっている場合じゃなかった。やらなければいけない事はまだ山ほどある。


「さぁ蒼の剣。私たちの世界に帰ろう。もう少しだけ一緒にがんばろう!」


 


 

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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