決着 その1
暗闇を抜けると一面砂の大地が広がっていた。
うーん……いまだに思った通りの場所に出れない。
あまり来る機会はないのだけれど。
「あー、ここ暑いところだ」
魔界といっても人間界と大きく違うわけではない。
生き物の生態系……というか、生物が全然別物なだけだ。
小説の中に出てくる幻想の生き物がいたり、細かい部分が違うけど、見た目が人間と似ている種族もいたりする。
確実に言える事は全般的に戦闘力の高い生物が多い。
「さてと。天使は何処に落ちたかな……と」
こちらの世界もかなり広かったりする。
広域に魔力フィールドを展開させるのも、それなりの集中力が必要だ。
「見つけた。あ……やっぱり。あれだけ目立つオーラ出してたら当然襲われるよね」
天使の気配のまわりに、違ういくつかの生命の反応がある。
おそらく、こちらの世界の生き物に襲われている。
天使の気配なんて、この世界では完全に異物だ。
間違いなく排除する対象になる。
とりあえず向かおう。五分飛べば辿り着く場所だ。
そういえば、負傷していた右腕が治っている。
こちらの世界の気にあたって、天使の聖属性のダメージが消えたのかもしれない。本来、ニーサちゃんの回復魔法と治癒の回復薬で治療済みなのだ。
物理攻撃力と魔法攻撃力も上がっている。
「私って完全に魔界側の生き物なんだなぁ。はぁ……」
無意識に溜息が出てしまう。
ここ何年か老化も止まってるし。あとどれくらい寿命があるのかもわからないし……もう諦めるしかないかなぁ。
再び、溜息が出そうなのを食い止め、上空に飛び上がる。
砂漠地帯で襲われているという事は……
「爬虫類系……あとは……ネズミみたいなのには以前遭遇したけど……まぁいっか。行って確認しよっ」
天使の位置を再度確認し、その方向に進路をとる。
少しだけ速度を上げる。
さっさと終わらせて、早く戻ろう。
ニーサちゃんには、ちゃんと謝らないといけない。
他の天使も残っている。
これからの事を考えると自然と拳に力がはいる。