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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第五章 ゴッドブレス
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天使 その7


「えっ?何?どうしたの。あなた誰⁉︎」


 突然起こった初対面の抱擁に戸惑う。

 ほぼ号泣しているこの人……

 あれ?でも、この感じ……この泣き声……

 覚えがある。

 

「ねぇ。もしかして……ニーサちゃん?」


 あれから七年経っている。

 単純に計算すると彼女の年齢は二十五歳ということになる。

 もう二度と会えないかと思っていた。

 まさか、こんな形で再会するなんて。


 パァン!


 頬に痛みが走る。

 頬を叩かれた理由はわかる。

 私は彼女たちと酷い別れ方をした。


「フレデリカさぁん!心配したんですよぉ!なんで自分勝手にどっか行っちゃうんですか!どうして……どうして。ううっ……わぁぁぁん!」


「綺麗になったねニーサちゃん。私なんかの為に泣かないで」


 そっと髪を撫でる。

 大人になった彼女に、こんな事するのは失礼かと思ったけど、何故かこうしてあげたいと思った。


「フレデリカさぁん!フレデリカさぁん!ずっと探していたのに……うぅ……全然見つからなくて……」


 なんか昔と変わらないな。

 昔みたいに、この子たちと楽しく暮らしたい。

 もう、無理なんだけど。


「ニーサちゃんは大人になっても可愛いね。心配してくれてありがとう。すっごい嬉しいよ。少しだけど、ニーサちゃんと会えて嬉しかった。私もう行くね。やらなきゃいけないことがあるんだ」


 瞬間移動をする為に三歩分距離をとる。

 彼女の顔が引き攣る。


「なんでですか⁉︎どうして一方的にいなくなろうとするんですか⁉︎残された方の気持ちも考えてください!」


 初めて見るニーサちゃんの顔だ。この子も、ちゃんと成長しているんだ。


「それに、その腕。回復魔法じゃ完全に治らなかった。そんな状態で何する気ですか?どうして天使にこだわるんですか?眠っている時も譫言(うわごと)の様に言っていたし。私だって、この最悪な状況は理解しています。一緒に戦いましょうよ」


 一緒になんて……

 こうなったのは私のせいなんだよ。だから、私がやらないといけないんだ。


「どうして何も言ってくれないんですか?私のこと嫌いになったんですか?」


 違うんだよニーサちゃん。

 

「……ごめん。さよなら」


 魔力フィールドを展開。天使の位置を索敵。

 見つけた。

 あの一番目の天使。

 今の私じゃ、まともにやっても勝てない。

 それならば……


「フレデリカさん!待って!話したい事たくさんあるの!報告したい事も。だから行かないで!」


 痛い……痛いよ。

 胸に何か詰まっている様に重く苦しい。

 ごめんニーサちゃん。

 私だって話したい事いっぱいあるんだよ。


「お願いします!行かないでください!」


「本当にごめん……ありがとう。ニーサちゃん……大好きだよ」


 景色が変わる。

 同時に、大切な友人の叫び声も聞こえなくなった。





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