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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第五章 ゴッドブレス
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近接戦闘 その2


「じゃあ再開するよ。今日は、私のとっておきを教えてあげるよ」


 得意げな満面の笑顔で人差し指をこちらに向ける。

 この子。初対峙した時の巫女ならではの厳かな雰囲気が全く感じられない。

 いま目の前にいるのは、ただの好戦格闘マニア女子だ。

 格闘を続けていると、いずれ私もこうなるのだろうか。

 いやいや。私は戦いとかは好まない、聖なる平和女子なのだ。

 ……違うか。神様に嫌われているから『聖なる』は間違いかもしれない……

 とにかく争いが嫌いな平和主義者なのだ。

 それはともかく、戦いのバリエーションは多いにこしたことはない。

 せっかくのお誘い。ここはお言葉に甘えて『とっておき』とやらを盗ませてもらうよ。


「タマヨリのとっておきってことは相当スゴいんだよね?」


「まぁね!私オリジナルだからね。普通の人には難しいけど、フレデリカなら出来るよ。説明するより実際に見てもらった方が分かると思うから、とりあえず私に全力で殴りに来てよ。今回は特別に能力上昇の魔法くらいなら使っていいよ」


 なるほど。実際に体感してみろということだろう。

 タマヨリの口元の、いたずらっ子の様な笑みからすると相当自信あるのだろうか。


「よおし!いくよー!」


 能力向上の魔法を使っていいなんて、さすがに油断しすぎじゃないのかなぁ。


「それじゃあ、お言葉に甘えて。はぁぁぁ……」


 敏捷性を大幅にアップ。

 ガードされる前に一撃を当ててやる。


「準備はいいみたいね。さぁフレデリカ。渾身の一撃を撃っておいで」


「言われなくたって。行くよ!」


 足元に反動の魔法を設置。これで初速度からマックススピードだ。


「これで準備は万全……スタート!」


 ドォン!


 地面を蹴る。

 反動魔法でロケットスタート成功だ。

 まわりからは消えた様に見えることだろう。

 ふふふっ。私の作戦はこれだけじゃない。

 私はもう一段階ギアが上がる。

 タマヨリに到達する直前に加速魔法で更に加速する。

 完璧だ。私ってなかなかの策士ではないだろうか。

 あとで叡智さんに自慢してやろう。

 

 よし!あと三歩の距離でタマヨリに届く。

 ここだ!


「加速!」


 準備していた魔法を発動させる。

 これでいただきだ……


「うわわわぁ!」


 ち、ちょっと何これ!加速が……半端ない加速が!こんなの速すぎるよ!

 私こんなに速くするつもりなんて……


「うわわぶつかる!タマヨリ避けて……えっ?」


 タマヨリの顔から不敵な笑みが消えていない。

 

 ドォォォォォン‼︎


 な、何?この衝撃……って!


「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



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