タマヨリ その7
うーん。よく寝てしまった。
頭がスッキリしている。
なんの予定もない休日の夕方みたいだ。やる事なくて一日寝てしまったみたいな。
「フレデリカ様?目がさめましたか?」
知っている声が聞こえる。
これは……えっと……叡智さんだ。
「叡智さんおはよ。あぁ……なんかよく寝ちゃったみたい。もしかして夕方まで寝ちゃった?」
「フレデリカさまぁ。寝ぼけてないでください。朝ですよ」
「そっかぁ。ほんとよく寝たよー。もう体力全快って感じだよね。ねぇ、なんかお腹空いたから朝ごはん食べたいな」
それにしても気持ちいい朝だ。
窓から太陽の光が差し込んできている。
今日はいいお天気なんだ。
お庭で朝ごはんしようかなぁ。
「あっ起きたの?朝食用意してあるよ。顔洗ったら、こっちにおいでよ」
「ありがと……って誰?……うわぁぁ!あれ⁉︎ココどこ……わぁぁ太陽の巫女!」
服は武闘着でもないし黒髪は上げているけど、朝食のお誘いをしてきた声は間違いなく太陽の巫女だ。
記憶が正しければ、私のことを本気で殺しにきた相手なのだけど。
なんか、いろいろ記憶が蘇ってくる。
「あなた私のこと殴ったよね!力いっぱい。私は寸止めしてたのに。すごい痛かったんだよ。死んだかと思ったよ!」
「ごめんごめん。結果的に生きているんだからイイじゃん。それに、最終的にキミの命を救ったの私だから」
なんか喋り方が軽すぎる。
あの仰々しい口調はどこに行ったのだ。
「あっ。もしかして私のイメージが違くて戸惑ってる?今の私が素の私だから。一応、神様直轄の巫女だからね。お勤め中は神の遣いみたくやってるんだよ。ちなみに老婆の姿も違うから。あの姿は節電モードで有事の時用にエネルギー貯めているんだよね。よろしくネ」
「『よろしくネ』じゃない!私の話、全然話聞いてくれなかったじゃない!」
「まぁまぁ。話はご飯食べながらにしよっ。ほらっ。そっちのお嬢ちゃんも」
「ありがとうございますお姉さん。是非是非いただきます。昨夜に頂いた筍ご飯は絶品でした」
叡智の聖騎士が食べ物で懐柔されていた。
「なるほど。つまりは、あなたも元々は私と同じ神様関係者ってわけなんだ。で、いろいろあって今の状況になってしまったわけか。そっか……辛かったね。頑張ってるんだね。よしよし」
頭を抱き寄せられ、頭をなでなでされる。
「もう全部受け入れたんだ。だから大丈夫だよ。ありがと」
「そうだけど。フレデリカはえらいよ。ほんと。私のことはタマヨリって呼んで」
「うん。ありがとうタマヨリ。同じような立場の人と初めて会ったから本当に嬉しいよ。よかったら友達になってほしいな」