タマヨリ その6
爆発の閃光で周辺の視認が悪くなる。
でも、今の私は全てを魔法で感知しているから関係ない。
太陽の巫女は、次から次へとエネルギーの塊を作り出すが、私の魔法弾の方が上だ。
発生と同時に設置した魔法弾で相殺撃破していく。
圧倒的な数とスピードでこちらにアドバンテージがある。
巫女の真上にある巨大なエネルギーの玉が徐々に小さくなっていく。あともう少しだ。
でもその前に片をつける。
「蒼の剣!いまある敵の弾を一気に殲滅するのと同時に突貫するよ」
これで決める!
カウントダウンでタイミングを合わせる。
「3……2……1……スタート!」
上空にに待機させている魔法弾を自らの意思で操作する。
五十二の爆発があたりに熱風を巻き起こす。
それと同時に蒼の剣を斜めに構え、最速のスピードで巫女のいる座標へと突撃をかける。
迷うことはない。このスピードは絶対に避けれない。
目の前に巫女のエネルギー弾が現れる。
蒼の剣で薙ぎ払う。
皮膚が焼けるが構わない。この戦いはもう終わる。
「時間延長解除!」
体感時間延長を解除し、皆の世界と同じ時間に戻る。
「太陽の巫女。これで私の勝ち。もう私には構わないで」
巫女の喉元に刃を突き付ける。
実際は斬るつもりは毛頭ない。あくまでも脅しだ。
「なかなか変わった術を使いますね。私の攻撃を一度に消滅されてしまうなんて。しかも気づいた時にはこんなにも接近されている。こんな技は初めて見ましたよ。手を抜いたつもりはなかったのですが。やりますね」
「私も結構全力を出しちゃったわよ。あなたの攻撃すっごい痛かったんだから。」
「それはごめんなさい。でもこれで勝ったと言えるのですか?私はあなたを消滅させようとしているんですよ。ちゃんと止めをささないとあなたの勝ちとは言えないと思いますよ」
「だから私は誰も殺さないって…………ぐはっ!」
腹部に激痛が走る。
鳩尾に拳がめり込んでいた。
急所をやられた……やばい……意識が……
「あなた……何を……」
「ですから私たちは殺し合いをしているのですよ。そんな刃を突き付けたくらいで勝利した気になっているなんて。隙だらけですよ。私は本来は武術家ですよ。完全に私の間合いです。惜しかったですね。終わりです」
「あ……あっ……」
呼吸が出来ない。
重力に引っ張られて落ちていくのを感じる。
ガードも受け身もとれそうもない。
このまま、この高さから地面に落ちたら死んじゃうだろうな。
落下していく浮遊感を感じながら、意識が闇につつまれていった。