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ゴッドブレス 魔法戦車と戦少女  作者: きるきる
第五章 ゴッドブレス
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タマヨリ その4


 太陽の巫女の頭上に巨大な光の玉が形成されていく。

 体で感じる。

 あれは凄まじいエネルギーの塊だ。あの塊一つで街一つを滅ぼせるほどのエネルギー。

 あたりの空気が変わる。

 風が止む。

 周辺に満ち満ちていた自然のエネルギーが巨大なエネルギーに打ち消されていく。


「あの光を打ち消す!行くよ!時間延長!」


 自分の持っている全てを解放する。

 同時に、巫女の持つエネルギーの塊から無数の光が瞬き始めた。

 その光がビームとなって、大波のように私の方に迫りくる。

 でも大丈夫。半径二十五メートルは私の間合い。

 世界の全てが超スローモーションになる。

 木々や草が揺れている。

 鳥が空で翼を羽ばたく。

 全ての動きが止まって見えるほどスローな動作だ。

 今の私の感覚は五十倍。

 重力加速度で軽く骨が軋む感覚があるがこれくらいは想定内。だが、不快な感じがゆっくりとやってくる。しかもそれが長く続く。感覚が五十倍になっているからだ。

 だから、この戦い方にはリスクがある。

 負傷した時の激痛も、ゆっくりと長く続く。

 本来なら生命に支障のない負傷でも、今の状態だと致命傷になる可能性がある。

 でも、そんなものは覚悟の上だ。


「それにしても……このエネルギーのビームヤバいわね」


 あの『千撃の光』って技。この状態でも、人が全力疾走するよりも速い速度で迫ってくる。


 という事は。通常の体感だと音速に近いスピードがあるということになる。

 普通に考えると回避不能な攻撃だ。

 でも、今の私なら。

 腰にある魔剣を抜く。

 右手に蒼の剣。左手に魔剣。

 二本の剣に魔力を纏わす。

 光の帯はもう目の前だ。


 勢いよく体を回転させる。

 回転の勢いに任せて両手の剣で空間を薙ぎ払った。

 剣に触れた光の帯が爆散した。

 

「三つ撃破!これならやれる!」


 地を蹴り空へと昇り、目の前に迫るエネルギー弾をかわす。


「へぇ。そう来るのね」

 

 避けたはずのエネルギー弾が方向を変えて追ってきた。

 自動追尾だ。

 九個……十一個。

 

「スプレッド!」


 蒼の剣の切先から魔力エネルギーで弾幕を張る。

 近い位置で爆発が起こる。

 

「熱っ……」


 皮膚が焼けた感覚がなくならない。

 これも時間感覚を延ばした影響。

 解除したいけど出来ない。

 それをしたら、たぶん死ぬ……


「!」


 一発スプレッドの弾幕を抜けてきた。


「もうっ!」


 左手の剣で薙ぎ払う。

 

 ドガァン!


 左手が焼ける。


 この光のエネルギー弾。触れると爆発して高熱を発するらしい。

 

 八個のエネルギー弾が迫る。

 まずい……距離をとらないと。近距離で処理するのは危険だ。

 領域内の端に瞬間移動する。

 

「はぁはぁ……くっ!この痛み……死んじゃう。あぁ!くうっ!まったく……生きたまま焼かれるって……こういうこと……あぅぅ!」


 油断したわけじゃないけど、想像以上に厄介な相手だ。

 体感時間延長の『痛みがゆっくり来る』を身をもって理解した。

 体感二十秒ほどで、やっと両腕の焼かれた痛みが消えてきた。火傷のダメージだけが残る。

 やっぱり守るだけで何とかなる相手じゃない。

 タマヨリが私の位置を見つけたらしい。

 動きを止めたエネルギー弾が一斉に動きだす。間違いなくこちらに向かっている。その数……三百。

 

「もう!やってやるわよ!太陽の巫女め。引っ捕まえて地獄の苦しみを味合わせてやる。くすぐりの刑で笑い死ぬがいい」


 

 

 

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