ショーナン国 その1
「うわぁー!なんか分からないけどスゴイ!」
赤くて小さいお家が縦に重なっている。しかも五軒も。
「ねぇねぇ叡智さん!あれって上の方に住んでいる人って大変だよね。ねっ?あっ!見て見て!その隣にある大きなお家はどうなっているの?真ん中の部分が空洞で普通に人が通り抜けてる!」
見るもの全てが珍しい。
世の中には、まだまだ知らない事が沢山ある。
生きていて良かったよー。
「ちょっとフレデリカ様。目をキラキラさせながらはしゃぐのやめてくださいよ。見られていますよ。完全におのぼりさんじゃないですか」
「いいじゃない別に……あっ!アレ美味しそうなんですけど!カラフルでかわいいし。ねぇ閃光さん。あれなんですか?」
「はい、フレデリカ様。あれは『ダンゴ』という菓子です。穀物を原料とした、この国を代表するお菓子と言っても過言ではありません。さらにダンゴと言っても種類があり、練り込む素材によって様々な味が楽しめるという…………」
ははは……閃光さん、いつもより饒舌ね。しかも早口だし。
この国が好きなのが伝わってくる。
「じゃあ二人とも。その『ダンゴ』を食べてみましょう。私はあのカラフルなのがいいけど」
それぞれ好みのダンゴを手にベンチに座る。このベンチも私の知っているものと違う。背もたれがない。
「何これっ!なんか初めての食感!こんなに柔らかいのに、しっかりとした食べ応え。感動しちゃうよー……って二人とも、普通に落ち着いちゃって。感動とかないわけ?」
「フレデリカ様は逆にはしゃぎ過ぎです。あたしたちは月に何回かは来てますので。割と食べ慣れています」
「えっ?そうなの?」
「はい。だから今も買い物できたんですよ。この国の通貨を持っていないと買い物できませんから」
叡智の聖騎士が、いくつかのコインを見せてくれる。
色の違うコインに、それぞれ数字が書いてあるが全く価値がわからない。
まぁ、それはいいとして。
何かわからない怒りが湧いている。
「もう!なんか気に入らないから今日は食べ歩くわよ。さぁ案内して。この街に慣れているみたいだし。ねぇ二人ともー」