変わらぬ生活 その3
……と思っていたのに。
なんなのぉ!
七年も経ったのに!
七年もたったのに私の容姿は全く変わっていない!
胸も育ってない!
誰かおしえてよー!
二十代後半に身に付けるはずの『大人の色香』はどこに行ったー?
「ねぇ⁉︎叡智さーん!教えて。私、こんな事になってるなんてこと最近気づいたの。叡智さんって何でも知ってるんでしょ?」
「えっ?そうなんですか?あたし達はだいぶ前から気付いてましたよ。てっきりフレデリカ様が、若作りの一環でやっているのかと思ってましたよ。魔法か何かで。ちなみに、たった今フレデリカ様の身体をスキャニングしましたけど、二十才の時のデータとほぼ一緒です。原因等の類は一切わかりません」
なっ、なんなのこれ?
体の変化とか意識して気にしていなかったし、まわりの人も何も言ってくれない……あっ、私友達いなかった。それに世間から距離をとって生きてきたから気付いてくれる人がいなかったんだ。
聖騎士たちは若作りだとか言ってるし。
「これって見た目だけで、体の組織的には年とっているってことよね」
「何言ってるのですフレデリカ様。さっき言ったじゃないですか。二十才の頃と変わっていないって。老化現象的な事も見受けられませんよ」
何これ⁉︎私って不老なの⁉︎死なないの⁉︎
最近楽しいから『長生きしてもいいかなぁ』とか考え始めてたけど思ってたのと違うじゃない。人並みの長生きでよかったのに。
「ねぇ叡智さん。これ治してよぉー」
「フレデリカ様。別に病気とかじゃないから治しようがありません。いいじゃないですか。ずっと年とらないなんて人類の果てる事のない研究テーマですよ」
やっぱり原因ってアレしかない。
それ以外に心当たりがない。
神様から授かった『英雄の力』と、あの白い猿がよこした『魔界の力』。あの二つの完全融合で変な影響を受けている。
叡智さんで治せないなら、もう神様に頼るしかないじゃない。でも神様には嫌われているどころか勇者をよこして、私のこと殺そうとしているくらいだし。
「とりあえずは考えても無駄よね。お風呂入って、ご飯食べて寝ましょう。幸いな事に私には、時間が死なない程いっぱいあるみたいだし」
行き先のない皮肉を飛ばし、自室に戻る。
明日は買い出し兼、社会見学の為に遠出する。
なんか、閃光さんが強めのリスペクトしている国らしく、閃光さんも一緒だ。まぁ、閃光さんしか行った事ないから彼がいないと話にならない。叡智さんの転移は一度も行った事ない場所には行けないからだ。
閃光さんが言うには、全ての文化が違うみたいだから、ちょっと怖いけど楽しみだ。甘い食べ物も沢山あるらしいから、お留守番の盾さんへのお土産にも力が入る。
こんなワクワクは久しぶりだ。ほんとうに楽しみ!
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