ダンダン団らん その3
「じゅあ、赤ちゃんは届かなかったのですね⁉︎」
「そういうことよニーサちゃん……ちょっと違うけど」
なんとか黄色の勇者の先走りをなだめるのに成功した。
「よかったです!お師匠とフレデリカさんの赤ちゃんがいたらどうしようかと。将来も誓いあってないのに大変ですよね」
「ちょっと……その言い方恥ずかしいからやめて……よ」
ほんとうに恥ずかしい。ホークはどんな反応しているのか。
気まずくて見れない。
「あれ?フレデリカさん顔が真っ赤ですよ……なるほど。これは、まんざらでもないということか」
青の勇者の洞察力が余計な事に勘付く。
「ちょっとリンク!何か言った?」
「い、いえ!何も気付いてないです。何も知りません僕!」
赤の勇者スパークの犠牲も無駄じゃなかったわけね。いい教訓になってよかった。
ちなみに赤の勇者は寝室で療養中だ。
「そ、それでね、ニーサちゃん……」
「何ですか?フレデリカさん」
嫌だなぁ。こんな役割。
でも男共に任せるわけにはいかないし……
「あのね。今夜さぁ……時間あるかな?あとで叡智さんがお迎えに来てくれるから、私の家に来ない?女子お泊まり会したいなぁ……なんて。だめかな?」
「きゃあ!行きます!ここ最近ずっとスパークとリンクが一緒だったから女子力が低下してたんです!夜通しお話したいですぅ!」
うぅ……こんな楽しみにキャワキャワしている子にショッキングな真実を話さないといけないなんて。耐性もなさそうだしなぁ。大丈夫かな。不安しかない。
「私もニーサちゃんに話したい事あったんだ。いっぱいお話しようねぇ」
そう。私は、この純粋で世間知らずの少女に性の何たるかを教育しなくてはならない。図書館にそういう教育本あったかなぁ。
あとで叡智さんに……ってあの子も見た目幼いから頼みづらい……自分で行くしかない。
「おいフレデリカ。顔がひきつっているぞ。ニーサの事頼む……」
ホークのやつ。一番最初に逃げたくせに。これは大いなる貸しができた。
「じ、じゃあニーサちゃん。私帰る身支度するから。また後でね」
逃げ出す様に部屋を出る。
ピリピリ……
誰かが転移してくる気配がする。
叡智さんだ。
ちょっと前に、大量の魔力を放出して合図を出しておいた。
上手く伝わったみたいだ。よかった。
建物の外に出ると同時に視界が光につつまれる。
「フレデリカ様。お迎えに……」
「叡智さんお願い!国の図書館に連れて行って!急ぎで欲しい本があるの。あっ、本屋さんでもいいや。いろんな本扱ってる大きな本屋さん」