ダンダン団らん その2
「ちょっとホークさん……あの子の教育どうなってるの?」
横で無関係を装おうとしてる剣士を睨みつける。
「いや、あれだな。あれくらいの年頃の女の子にはデリケートな話はだな。ほら!セクハラとか言われかねないだろ。なっ」
「教育っ!」
育ての親が教えないで誰が教えるのよ。
「じゃあアレだな。フレデリカ。そこまで言うならお前がニーサに教えるんだな。『赤ちゃんが出来るまで』をな」
「い、嫌よそんな事……私だって分かりやすく説明できる自信ないし」
突然のフリに反射的に一歩後退る。
「何言ってるんすか。それくらいオレだって知ってますよ」
おお!赤の勇者!あなたがニーサに説明してくれるの?
ただの戦闘バカかと思っていた。ごめんねスパーク君。
「大人なフレデリカさんは、そういう行為を何回もしているベテランなんでしょ?なんならリアルに赤ちゃんのつくり方教えてあげればいいじゃないですか。動きとかも付けて教えればニーサも勉強になりますよ。ははは」
赤の勇者は何の悪気もなく軽やかに笑っている。
この子はデリカシーが欠如しているようだ。
「ねぇスパークくん?大丈夫だから。ちょっとは痛いかもしれないけど、調整して殺傷能力はほとんどないから安心して。じゃあ行くわね」
私は優しい。言葉の語尾に気持ち『ハートマーク』を付けてあげた。
「地獄業火よ。この者を灰塵と帰せ。命を焼き尽くし、その命が消える瞬間まで炎に焼かれる地獄の苦しみを与えよ……」
火炎魔法の詠唱をはじめる。
詠唱なんてなくても撃てるけど、ほら。死なない程度に調整しないといけないし。それに赤の勇者って呼ばれるくらいだから炎には強いでしょ。根拠はないけど。
「フレデリカさん?あのぉ……詠唱の内容が物騒な感じなんですが」
さすがに、お鈍の赤の勇者も身の危険を感じたようだ。
「ふふっ。大丈夫よ。形だけよ。形だけ。だって大人だもん私。それより今は話しかけないで。火力調整失敗しちゃうでしょ」
「おいフレデリカ!さすがにそれはマズイだろ。軽い冗談だよな。なっ?スパーク」
隻腕の剣士が間に割って入る。
「冗談だったら余計にタチが悪いわよ。ホークもスパークの横に並んでみて。一人も二人も一緒だから」
手のひらを空に向ける。
上空に巨大な炎の玉が出来上がった。
「い、いや。オレは大丈夫かなぁ。ははは。ニーサが心配だ。ニーサーぁ!大丈夫だからぁ!」
家に向かって全力で走っていった。
そういえば青の勇者はいつのまにか姿を消している。あの子は場の空気が読めるようね。
「さすがホーク。かなりのスピードね。じゅあスパーク。二人でパーティーを始めましょうか。大丈夫。大人なおねえさんが優しくしてあげるから」