迎撃 その4
「ちょっと!あれだけ投げナイフに気をつけてって言ったでしょ」
「すまない。でもマジで強いぞアイツ」
「それも言っておいた!」
力が入って怒鳴ってしまった。
でも、それくらい心配したのだ。
私が怒るのも無理もない。
「わかったよフレデリカ。じゃあ、このあたりで本気でいこうかな」
何この人。
命懸けの殺し合いに手を抜いていたのか……
あとで説教タイムだ。
「なんと!剣士よ。今までは全力でなかったと。いいぞ……くっくっくっ」
性格が変わった。これがコイツの本当の人格なの?
まさに戦闘狂ね。
「貴様達に生き残るチャンスをやろう。次の攻撃で最後だ。この攻撃を凌ぎ切ったら、お前らの勝ちだ。二度と関わらないでやろう」
なんて素晴らしい提案なのだろう。
「私はその挑戦受けて立つわよ。でも国からの依頼なんでしょ?放棄しちゃっていいのかしら?」
「いいに決まっているだろう。こんなに楽しい戦いは久しぶりだ。依頼なんてどうでもいい。それで?剣士の方はどうするのだ?」
持っていたナイフの切先をホークに向ける。
「もちろん受けてやるさ」
ホークも切先を相手の眉間に向ける。
「いい答えだ。では覚悟しろ。オレは時を止められる。この最強の技で二人まとめて沈めてやろう」
ぴりっ……ぴりっ……ぴりっ……
空気が震えた。
何かの魔法が発動している現象だ。
時を止められると言っていた。
そんな奇跡みたいな魔法……絶対禁魔法だ。
空気の振動が止まない。
この男。体術だけかと思っていたけど魔法も。
「……準備はできた。では行くぞ。構えろ。お前らは自分が死んだ事すら気付かない。これでお別れだ。剣士よ楽しかったぞ」