迎撃 その2
「お待ちかねか。準備は万端のようだな。世界で最強の二人が待ち構えてくれるなんて。大層なお出迎えだ」
緑のマントとフード。前回、会った時の服装のままだ。特に変わった様子は見受けられない。
「ホーク。気をつけて。アイツ、会話している最中でも平気で毒ナイフ投げてくるから。不意打ちの天才よ、まったく」
「フフフ……天才とは。高い評価をどうも」
フードの隙間から笑みが覗く。
「嫌味で言ったのよ。別に褒めてないわよ!」
「いや。こちらこそ。皮肉で応えたつもりだが」
絶対バカにされた。
むかー!腹立たしい。
もう!目にもの見せたる!
「悪いけど最初から全力で行くから。『二人がかりで卑怯な』みたいな抗議はなしでお願いするわよ。ホーク行くよ」
視線でホークに合図を送る。
「フレデリカ……すまないが一人でやらせてくれ。向こうも今回は正々堂々やるみたいだし。オレも少し自分の実力を確認しておきたいしな」
「ダメだよ!向こうは本気で殺しに来るんだよ!そんな相手に力試しなんて」
ホークが死んじゃうのは嫌。そんな事になるくらいなら私が……
「そんな泣きそうな顔するなよ。少しはオレの事信じてくれよ」
「でも!」
ホークのシャツを掴み訴える。
「オレも今日まで何もせずにいたわけじゃないよ。現状で戦える術は用意してきたつもりだよ」
「…………わかったわ。でも本当に命が危ない状況になったら割って入るから。目の前の命がなくなりそうな状況は見逃せないから」
「了解だ。そうならならい様にがんばるよ」
腰から剣を抜き、対戦相手に向かい歩み出す。
「さすが元アクワ国の司令殿だな。そこの魔女とは違うな」
フードの男も一歩、二歩と距離を詰める。
「おいおい。フレデリカの事を悪く言うのはやめてくれないか。彼女もいろいろ抱えているんだよ」
「悪かったな。侮辱しているわけではない」
「そうか。ならいいけどな。じゃあ、そろそろ仕掛けさせてもらおうかな」
「こい……」
二つの土埃が上がる。
そして、金属の衝突音が幾度も響き渡る。
表情は見えなかったが、私からは、その両者のぶつかり合いが楽しんでいる様に見えた。