再会 その2
「じゃあ、つまりはアレか。オレを狙っている暗殺集団が、ここに向かって来ているってことでいいのかな?」
よかった。一発で通じた。
「フレデリカ様に感謝しなよ。そうしなければ、あんたなんか人知れず孤独に死んでいるところだよ」
「叡智さん!叡智さんも敵の『力量』知らないでしょ。突っかからないの」
「すみませんフレデリカ様……」
「二人とも仲良くとまでは言わないけど、作戦行動とれるくらいにはコミュニケーションとれるからいにはしてよね」
なんか先が思いやられる。
最初の気まずさや緊張感は何処かにいってしまった。
「しかし……あんなに国に尽くしたのに、まさか命を狙われる羽目になるとは。まいったまいった」
まったくこの人は……
相も変わらず他人事なコメントする。全然変わっていないじゃん。
「あの……フレデリカ様?何ニヤニヤしてるのですか?」
叡智の聖騎士が間近で顔を覗き込んでいる。
うわっ!全然気付かなかった。
「え、えっ、そんなニヤニヤなんかしてないよ。嫌だなぁ叡智さんってば。ははは」
「そういうところ昔からだよな。その何もないのにニヤけてるのは気持ち悪いから意識した方がいいぞ」
こいつ……乙女心がわからないのも昔と変わらない。
「ほ、ホークさんも相手の気持ちとか察する能力は持った方がいいと思いますよ。人として。うん。人として最低限」
「なんで敬語なんだよ。もう上官じゃないんだから普通に話せよ。気味悪い。つかお前、オレが上司だった頃から敬語使ってなかったよな。余計に気持ち悪いぞ」
「そうか!フレデリカ様は想い人と再会して、念願のお話できる事が嬉しいのですね!よかったですね!フレデリカ様!」
「え、叡智さん……もしかして、故意的に言っているのかしら?かしら?」
「『こいてき』?あぁ、なるほど。恋的にって事ですか?そっかぁ。こんな奴でもフレデリカ様の初恋の人…………」
「コホン!コホン!」
不自然すぎる咳払いで、それ以上の会話を中断させる。
「もう大丈夫!叡智さん……帰ったら、またお勉強を見てあげますからね。もう黙ろうねぇ。ねっ?」
あっ……この子も人のココロがわからない人だった。
そんなやり取りを見てホークはカラカラと笑っている。
あーあ。こんな毎日がつづいたらなぁ。
屋敷で三騎士とホークの五人で楽しく生活する。
そんな、起こりえない妄想を頭の中で考えてしまう。
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