脱走兵 その2
本日の朝食メニューは
『目玉焼きと厚切りベーコン』
となっている。
カリカリのベーコンも美味しいけれど、この厚く切ったベーコンの方が私の好みだ。スモークされていて香りが食欲をそそる。
やっぱり、この組み合わせが朝食界隈でナンバーワンだ。
もちろん、このコンビにはトーストが合う。
トーストの上にのせて頂く定番パターンから、半熟の黄身をパンに付けるというのもアリだ。テーブルマナーなんて関係ない。
「盾さん。とても美味しかったです。ごちそうさまでした」
今朝の朝食当番は盾の聖騎士さんだ。
「いえいえ、お粗末様です」
盾さんが不思議な言い回しをする。
閃光さんからの教えらしいけど、相手の事を想って発する事だから、素敵な言葉という事になる。
「盾さん。食器洗うの私も手伝うから…………!」
「フレデリカ様!」
突然、閃光さんが立ち上がる。
「うん。わかってる」
外に何物かの気配を感じる。
盾の聖騎士と叡智の聖騎士も同様に気付いているみたいだ。
私だけは、この気配を知っている。
あの時の殺し屋。
「ねぇ、みんな。この気配って、この前話した例の殺し屋さんだと思う。みんなには危害はないと思うから私だけで話してくる。だから待っていて」
三人を安心させる為、笑顔をつくる。
「ほら。知っているでしょ。私の力。今の私はこの世界で最強だから。誰にも負けないよ」
悪魔の力を押し付けられて半年以上。
私の中で共存していた英雄の力である『神の力』と、悪魔から押し付けられた「魔界の力』が交わり掛け合わされ、一つに融合された。
その化学反応的な現象は、とてつもない力を私にもたらした。
私の知る限り、この世界に敵になりうる者は存在しない。
でも、私はこの力を無闇に使う事はしない。
私の中に元々あった『英雄の力』は、この世界の平穏を守る為の力だ。
その根本的な、力の存在理由に従い、世界のトラブルや大切な人の為に使っていこうと思う。
まぁ、私自体が不完全な人間だけど、間違えた使い方をしようとらしたら、聖騎士たちが正してくれるだろうから安心している。
「せっかく四人揃っている休日なんだし、あとでお茶でもしながら楽しくお喋りしましょ。それじゃあ行ってくるね」
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