正義 その1
「……というわけなの。だから私もれっきとした人間。魔法感知とかには悪魔系に認識されちゃうけど」
魔力を悪魔によって染められてしまった事のみを話した。
余計な事を話して情報を与えてしまうと、関係のない人や親しい人にも危害が加えられてしまうかもしれない。
その内容で信じてもらえるかどうかは不明だが、真実であるのだから仕方がない。
「わかった。信じよう」
「ほんと⁉︎ありがとう!」
「だが……」
えっ?『だが』って何?
「お前……フレデリカ……クラークだろ?」
ば、バレてる……
「ち、違うわよ。私はシャル……って、もう騙せないわね」
「オレたちの情報網を舐めないでもらおう。病死と言われている前国王は、お前が殺したのだろう?王以外も多くの罪のない人々を殺したお前は生きていてはいけない人間だ。だからオレはお前を殺す」
「罪のない人間……罪のない……」
ずっと忘れていた感情がよみがえる。
これは怒り……悲しみ……
親友の顔が思い浮かぶ。
「私は……あいつらは……許せない事をした。確かに感情的に行動してしまった。けど……あいつらこそ生きていてはいけない人間だった。あれ以上犠牲者を増やしちゃいけなかった……だから私は……でも!あなただって殺しを生業にしているじゃない!そんなあなたに私を非難する資格なんてない!」
また感情を爆発させてしまった。
魔力だけじゃなく感情もコントロール出来るようにならないと。
「もういいわ。あなたに言っても理解してもらえないだろうし。私の話には耳もかしてくれないもの」
そうだった。この人は話し合いが出来ない人だった。
「フレデリカ・クラーク。オレは依頼があれば誰でも殺しているわけではない。悪と認識された奴らしか手にかけていない。どうやらお前もワケありの人間らしいな。今、お前の出している感情からは悪を感じられない。この魔法のバリアを解除してくれないか。話し合いをしよう」