タンクの少女
はじめまして。
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空いた時間で進めている為、殴り書き状態です。
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鋼鉄の分厚い装甲板で隔たれた頭上に位置する砲身。そこから放たれた高熱で蒼白い帯が前方に伸びていく。
数百メートル先のゴツゴツした岩石地帯に吸いこまれる様に着弾し、大爆発がおきた。
肉眼では確認できないが岩場に潜んでいた多くの悪魔の息を止めた事だろう。
そこに複数の敵兵がいた事はすでに確認済みだ。
「フレデリカ、次行くよ。フルチャージ頼む」
「了解……いけるよ!」
「発射」
蒼い光が地平線に向かって伸びてゆく。
再び爆発。青い火柱が立った。
「ふう、終わったー」
軽く伸びをする。
視線を少し下に下げると、私と同じ行動をしている人が見える。
私がいるシートより一段下にあるコックピット。
そこには私の上官であり、そしてパートナーであるホーク・バーナー司令総監が操縦桿を握っていた。
司令総監というのは我が『北アクワ国』の戦略司令に配置されている戦闘部門管轄の一番偉い人間だ。
上官とはいえ、パートナーである私は対等な立場で名前で呼ぶ事を本人から許されている。
「ねぇ、ホーク。あいかわらず狙い通りの場所に撃ち込むわよね。前に組んだエースは相当苦労していたわよ」
ちなみに『エース』というのは、一般的な言葉に直すと『パイロット』のことだ。
通常、エースと言ったら腕利きのパイロットの事を指すと思うのだけれど、私が乗っている『機械式魔法戦車』という戦闘マシンのパイロットは優秀な人間しか扱えないので、呼び名は『エース』で統一されているのだ。
「まぁ、この射撃の腕で出世した様なものだからな。これがダメになったらオレはすぐにお払い箱だよ」
他人事の様に事を語る。この人は、いつもこんな感じだ。やる気があるのかないのか全く掴めない。
よくこんなんで出世できたものだ。
「それにフレデリカ。君と組んでから今日までに上げた戦果は、ほとんど君のおかげみたいなものだよ」
嬉しい。褒められる事はあまり得意ではないが、ホークに褒められると素直に嬉しい。
「そうかしら。あなたの腕前あっての戦果だと思うわよ。私は座っているだけだし」
間違っていないと思う。
以前に組んだエースは車両の操作は一流以上だったが、射撃精度がいまいちだった。
操舵担当、射撃担当と役割分担ができれば一番いいのだが、この機械式魔法戦車はなにぶん二人しか乗れない。エースが車体の操作と射撃を両方こなさないといけない。
一芸特化ではこの戦闘マシンで最前線を生き残れないのだ。
そして、二人乗りであるこの戦車のエースとは別の重要な役割分担がある。つまり私の役割。それは動力担当。
この『機械式魔法戦車』という乗り物。動力は人の中にあるエネルギー。通称『魔法』と呼ばれるもの。魔法といえば、おとぎ話やファンタジー小説で手から「ぶわぁー」って炎や氷が出るアレがイメージなわけなんだけど、私のはそういうのじゃない。
わかりやすく説明すると、電気やガソリンみたいに機械の燃料になるエネルギー。それが私の国で『魔法』と呼ばれる力。
この『魔法』が出せる人間は希少であるようだ。
そして、どの世界にもあるように力の強い者と弱いものがいるわけで。
この『魔法』の強さは等級で区別される。
一番下が五級になる。そこから一級まで五階級。
さらに強い魔法が出せる者は特級と区別される。
ちなみに私『フレデリカ・クラーク』は聖特級。
『聖特級』は私だけの等級。
突然変異か神様のイタズラか。
私の魔法のキャパシティは他の誰よりも大きかった。測定では特級の八十八倍以上あるそうだ。
研究所で私は『伝説の勇者』扱いだ。
そんな特別な私だからこそ、ホークという高い階級のパートナーに選ばれた。
そして、私の様な『魔法』を秘めている人間は、こう呼ばれている。
『タンク』と。
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