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幕間其の壱〇〇さんのお考え

彼女は何を想い、何を訴えていたというのだろうか・・・。

 もうっ! 遅くなる日は連絡してって何時も言ってるのに・・・聞こえて無いでしょうけど・・・。


 でもでも、電話くらいしてくれてもいいと思います!


 はぁ、せっかく作ったお料理も冷めちゃった。


 作り立てが一番美味しいのに・・・お仕事だもの、仕方無いか・・・。


 まだかなぁ、まだかなぁ~♪


 あっ! 階段を上がってくる音が聞こえる!


 この足音は、きっとあの人。ふふ、ほらね? 部屋の前で止まった。


 さて、お出迎えしなくちゃ・・・鍵を開けて、おっかえりなさあああぁぁぁぁぁぁ~いっ♪


 あわわわ!? わたしったらまたやっちゃった。あの人が今日も帰って来てくれたのが嬉しすぎて、思いっきりドアを開けちゃった・・・まるで、帰って来たご主人様に飛びつくワンちゃんみたいに・・・。


 は、恥ずかしいぃぃぃぃぃっ・・・って、そうじゃ無いわ! ほっ、あの人には当たって無かったみたい。


 むぅ、その『またやっちゃったね』って顔、意地悪すぎないかしら? ま、まぁ・・・あの人が遅く帰ってくる日は毎回やっちゃってるような気もするけど・・・。


 ふふ、それじゃ何時もの・・・。


 ――パチ・・・パチ・・・パチ・・・・・・パチ・・・。


 お・か・え・り・な・さ・い――これが何時ものご挨拶。わたしの声が聞こえない、あの人への『お帰りなさい』の合図なの♪



「・・・ただいま」



 声は聞こえなくても、あの人にはきっと伝わると思っていた。


 最初は戸惑うだけだった彼だけど、何時の頃からかそう挨拶してくれるようになったの・・・初めて言ってくれた日はわたしの中での記念日の一つなのです♪


 ささっと・・・最後に電灯が消える。その間にスリッパのご用意・・・わたしは尽くす女なのですよ?


 このスリッパは、わたしの趣味に合わせて彼が買ってくれたスリッパ。あの人ったら、いっつも暗い色の物ばっかり選ぶんですもの・・・だから、部屋とあの人の服装のコーディネートはわたしがすることに決めちゃいました!


 今はインターネット通販があるから便利よねぇ。


 タッチパネルが使えないからスマートフォンは無理だけど、パソコンならわたしでもぽちぽちっと使えますもの・・・ポルタ―ガイスト現象って言うのかしらね、これも?


 わたしは・・・色々あって、元夫に後ろから刺されて死んじゃったけど・・・今はあなた(・・・)が居てくれるから幸せよ?


 幽霊になっちゃったわたしの言葉はあなたには伝わらない・・・あなたがわたしに触れることも出来ない。でも、わたしからあなたに触れることは出来る。抱き締められることは無理でも、あなたを抱き締めることは出来る。


 それだけで、わたしはあなたを幸せで出来る・・・かも、しれない。でも、それだけでわたしは幸せなの。


 だから、わたしはあなたを絶対に死なせてなんてあげませんからね!


 どんなに死にたいと願っても、死なせてあげません! だから・・・死ねばわたしに触れられる、言葉を交わすことが出来るかも、なんて考えないで・・・ちゃんと生きて、ちゃんと死んで下さい。


 あなたがお爺ちゃんになっても、わたしはずっとこのまま側に居るから・・・ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとず~っと一緒に♪


 だって、わたしはもうあなたに憑いて逝くって決めたんだから・・・。

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