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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第三章 魔剣舞闘会
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四大国会議・後編

 獣王の言葉に、改めて、俺に視線が集まる。アデル王の後ろに控えたカラグを一瞥し、俺は口を開いた。


「現在、王国と獣王国で救出され、私の元で保護管理している亜人(デミ・ヒューマ)についてです。当人たちも、元々から自給自足の生活を送ってきたことから、今まで問題はなかったのですが、いかんせん数が増え過ぎました。食糧不足が問題となっております。そこで、近郊にある王国のシャバニア辺境伯領との交易を図りたく思っております」


 一息にそこまでを説明して、反応を伺う。


「亜人とは、どの種族のことかね?」


 その問いを発したのは、法皇。四神教の教義によれば、魔化物(モンスター)とは、地母神ヘルがこの世にもたらした人類(プライミッツ)への試練であり、故に彼らの死体は有益な資源、すなわち、褒賞なのだというもの。

 魔族への理解は、戦争を仕掛けてくるのだから、倒すべき試練とするのが一般的だが、一部では、人類の器を測っているのであり、最終的には、和解し、共存すべきとする者たちもいる。


 そんな四神教の頂点であり、神の代弁者である法皇は、特に反発を抱いているようには見えない。控えている戦乙女(ヴァルキリー)のほうがこちらへの敵意を募らせている。


「現状で、保護しているのは、人蜘蛛(アラクネ)人鳥(ハーピィ)の二種族です」

「ふむ……。(いにしえ)の汚点か。それならば、反対する者も、抑えられようが、現状、ということは他の種族も受け入れるのか?」

「えぇ、そのつもりです。魔王国に所属せず、ひっそりと暮らしているような者たちについて、移住を薦め、彼らの返答によっては、新たに住民が増えることでしょう」

「……何故、住民を増やそうとしておられる。今も、食糧不足で問題となっているというのに」

「先の奴隷狩り騒動が、秘密結社〔仮面舞踏会(マスカレード)〕によるものだとは皆様、把握していると思われます。今回のことで、判明したその首魁が、吸血鬼(ヴァンパイア)であること、これが問題です」


 そこで、一息。吸血鬼に言葉に反応したのは、戦乙女だけ。他の面々は、続きを促している。


「正体がバレた以上、人類圏で派手に動くことは向こうも控えるでしょう。しかし、彼が吸血鬼である以上、魔王国への干渉も可能と見るべきです。何を目的としてのものかは、分かりませんが吸血鬼である以上は、求めるのは血液です。魔王国に干渉して、血液を集めようとするならば、人魔大戦を勃発させるのが、最も手っ取り早い方法でしょう」


 戦争の可能性。その提示に、面々の反応は様々。眉間を揉む者、戦の到来を夢想し拳を突き合わせる者、艶然と微笑む者、目を閉じる者、驚愕する者、特に変わらぬ者。


「それでジャック殿」

「はい」


 目を開いた法皇が問い掛ける。


「つまり、貴方は戦争が勃発し、比較的友好な亜人たちが差別される前に、保護しておきたいということで良いのかな?」

「えぇ、その通りです。すでに、保護した者がいる以上、集団がいくら増えたところで同じことです」

「ふむ……」


 今までを見るに、法皇自身は共存派なのだろう。戦乙女は、殲滅派に見えるが、まぁ、戦闘集団の長であることを考えると仕方のないことなのか。迷うわけにもいかないだろうからな。


「ね、あなたは交易と言ったけれど、何を齎してくれるの?」


 話が一段落したからか、今度は女帝が問いかけてきた。

 それに、俺は物を取り出しながら、説明することにする。


 円卓に置かれたのは、純白に光沢のある織布と少し大きめの卵。


「こちらは、人蜘蛛の蜘蛛絹(スパイダーシルク)と人鳥の無精卵になります。蜘蛛絹のほうは実際に、お触れになったほうがよろしいでしょう、どうぞ」


 そう言って、女帝の元へ届ける。


「まぁ、素晴らしい手触りだわ。それに絹よりも、丈夫に思える」

「えぇ、その通りです。さらに、汚れが落ちやすく、付与術も効果を発揮しやすい代物となっております。……それで卵のほうですが、人鳥は胎生で、産み落とす卵はすべて、無精卵のようです。そのため、彼女たち自身、特に卵に思い入れがあるわけでもなく、自分たちの食料にしている様子。味は普通の卵よりも濃厚で大変、美味となっております」

「卵を産むのに、実際には、胎生なの?」

「えぇ、そのようです。まぁ、元々は合成獣(キメラ)ですから、そういったこともあるでしょう。後は、森の恵みをここに加える程度となります」

「ふふふ、この蜘蛛絹が手に入るだけで、妾は交易を認めるわ」

「ありがとうございます」


「余は、すでに認めておる」

「俺も構わん」


 女帝に続いて、アデル王と獣王も了承する。まぁ、アデル王については、王国のほうで条件付きの了承を貰ったからな。魔剣大会で優勝して、亜人を抑えておけるだけの実力を示せと。

 後は、法皇だが。


「……」


 長い沈黙。女帝の鼻唄だけが響いていた。そんなに気に入ったのか、蜘蛛絹。


「ジャック殿」

「はい」

「貴方の腕前を見込んで、依頼する。この依頼を受けてくれるのならば、亜人の保護、交易その他、今件に関するすべてを認めよう」

「……どのような依頼でしょうか?」

「それはーー」


「失礼いたします!?」


「何事だ!!ここは今、重要な会議の場だぞ!」


 慌しく、入室した一人の兵士。それに問い掛ける獣王。


「北方の国境より連絡!魔王国軍が、攻めて来ました!!」


 改めて、顔を引き締める四大国の国主たち。つい先ほど、示唆された人魔大戦。それはすでに、始まっていた。

無理矢理だと、感じる人がいても、許してもらいたい。良い繋ぎが思い浮かばなんだ。


ジャック「そもそも、しっかり書けてるのって、第一章くらいだよな?」


ノォーーーー、!!!?!(ムンクの叫び)


「煩い!」


 スバァン!!


「つまらぬ物を切ってしまった。ん?物?」


それは身代わりだ。かはっ……(静かに刺突を放たれた)


「つまらぬ者を突いてしまった」

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