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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第一章 忘れ去られた地下墓地
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魔力

「チッチッ」


 セイの警戒するような鳴き声だ。

 俺もわかっている。前方の地面から、邪な気配がする。屍鬼(ゾンビ)だろう。

 はじめこそ、奇襲まがいなことをされたが、多少の注意を払えば、同族のためか割と簡単に発見できる。


「セイ、浄化だ」


「チッ」


 セイは返事とともに、屍鬼の潜むところに青白い光を放つ魔力を放った。

 ポワという感じで、地面に命中すると、屍鬼は苦しみながら地面から現れ、糸が切れるように大人しくなった。


 黒く淡い光が現れ、俺とセイに取り込まれる。

 これが魔力だということは、すでに確信している。余裕がでてきたし、アイテムも見れたので、真理眼(イデア)で見るというシンプルな解決策を思いついたのだ。自分でも、結構間抜けだと思っている……。


 それで、黒く淡い光とセイの青白い光の説明はこうだ。


『負の魔力:欲望の具象化したエネルギーが魔力であり、負の魔力は、悪性の欲望から発生する。そのため、扱いには注意が必要。』


『正の魔力:欲望の具象化したエネルギーが魔力であり、正の魔力は、善性の欲望から発生する。そのため、扱いには注意が必要。』


 善性と悪性以外に違いのない説明。真理眼はその性質上、目の前のものしか説明してくれないので、これ以降は推測になるが。


 本来は、おそらく単純な魔力として存在しているんだろう。俺やセイは、存在そのものに属性を宿しているから、正の負のという要素が付け足されているのだ。でなければ、屍鬼から発生する魔力をセイが取り込める理由がわからない。取り込むときには、純化されて、一度、ただの魔力に戻しているはずだ。

 善性にしろ、悪性にしろ、方向性を宿しており、暴走しかねないからこそ、どちらにも注意書きがあるということも矛盾のない話だと思う。


 ここまではわかっている。セイの浄化は魔法に近い代物だと思うのだが、俺は未だに魔力を感じることさえ、ままならないのだが。いや、屍鬼を感知するのは、おそらく、負の魔力を感じてのことだとは思うが、自分のはてんでダメである。魔法を使うのは無理なんだろうか……?


「チッ?」


 少し黙考し過ぎたようだ。セイの心配の声が聞こえた。

 ふと、屍鬼の方を見ると、すでにセイが平らげた後だった。


 セイを見る。


「チッ?」


 無邪気に首を傾げるセイの頭を撫でてやった。


「食い意地張ってんな。まったく」


 気持ち良さそうなセイに対して、俺は苦笑の言葉を漏らすのだった。

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