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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第三章 魔剣舞闘会
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無知の知

「ふぅ……」


 流石に精神的に疲れたと、息を吐いた。その直後だった。


「がっ!?ぁ、ァァァァァアアア!!!?!!?!」


 膝を着かねばならなかった。夜刀姫(ヤトノヒメ)を地に突き刺して、支えとせねば、倒れ込んでしまいそうだった。


「チッチッ!?」『父様!?』


 二人の半身の心配の声が聞こえた気がした。だが、確かなことがわからないほどのナニカが俺の中を蹂躙していた。


 憤怒だった、悲哀だった、喜悦だった、愉悦だった、快楽だった、正義だった、必要悪だった、信仰だった、憎悪だった、嫉妬だった、好奇心だった、物欲だった、嫌悪だった、好意だった、恋だった、愛だった、希望だった、野心だった、生存欲求だった、破滅欲求だった……


 俺の中をありとあらゆる感情が渦巻いた。そして、ソレは悟った。


 ーーあぁ、なんだ。すべて、無意味じゃないか。だったら、すべてを虚無に変えそう、帰そう、還そう、換えそう


 ーーだって、可哀想じゃないか、可愛そうじゃないか。ほら、君たちは苦しんでいる、こんなにも喘いでいるじゃないか


 ーー何故だ、何故だ、何故だ、何故だ、何故だ、何故だ、何故だ、何故だ……


 ーー君が一番苦しんでいるだろう!君が、何故、僕の邪魔をする、何故だ!?


 ーーあぁ、わかったよ。僕の負けだ。だけれども、諦めない、だって、僕は悟ったから。せめてもの祝福(ノロイ)を君たちに、偽りの救済(ハメツ)を贈ろう……


 その言葉を最後に、ナニカの蹂躙は終わった。


「はぁ……はぁ……はぁ……」


『父様?』「チッ?」


「大丈夫、だ。だが、少し休もう」

『ん』「チッ」


 二人からそれ以上の言葉はなかった。

 俺は土で汚れることも厭わず、地に大の字になった。


 何もしないのも暇なので、自身に真理眼(イデア)を向けた。


『個体名:ジャック・ネームレス Lv.44

 分類:不死者(アンデッド) 人類(プライミッツ)

 種族:吸血聖人(ヴァンパイア・ホープ)          』


『固有特性:哲学者(フィロソフィスト)

 ・真理眼: ありとあらゆるものを見ることができる。どのような隠蔽をも看破する。

 ・哲人石(ラピス): およそ、人が抱えるすべての欠陥を解決する万能の媒体。錬金魔術(アルケミー)においては、最高の触媒ともなり得る。

 ・無知の知(エイロネイア):己の無知を自覚した者は、飽くなき探究心を持ってこの世の真理を追い掛ける。その果てに待つのが、自滅なのだとしても……。

 ・[封印]                 』


 レベルがだいぶ、上がったか。これで、レベル的には、冒険者の霊銀(ミスリル)級。まぁ、この前、元霊銀級に勝ったが。


 無知の知、か。これが原因か?他二つと違って、なんか説明が不吉だな。

 思い当たるのは、まぁ、【血喰(ブラッドイーター)】でグラムやファントムの血を取り込んだことが封印解除の切っ掛けになったんだとは思うが……。


 わからんな、うん。情報がねぇよ。


「よし、帰るか」

『ん』「チッ!」


「あっ、ヤト。俺が膝を着いたのは、エリーさんたちには、内緒な」

『ん、わかった』


 ヤトの了承を聞いて、跳ねるように起き上がる。


 時空魔術【転移陣(テレポート)


 魔法陣の輝きが、俺たちを包み込んだ。


 ……。


「あっ、帰ってきた。お帰り〜」


 真っ先に気づいたのは、カーラだった。彼女の言葉に、他の面々もこちらを向く。


「お帰り、お兄ちゃん♪」「お疲れ、ジャック」「帰ったか、がははは!」「よく戻られた」


「あぁ、ただいま」「チッ!」


 その言葉に、軽く手を上げて応えた。


 ……。


「……秘密結社〔仮面舞踏会(マスカレード)〕?」


 少しの休憩の後、情報交換の場で齎されたのは、その名だった。


「そうじゃ。イジネ殿が拘束してくださった、この城塞への侵入者たちはどうやら、その組織に所属しておるらしい。……世界史に残るほどの大犯罪や戦争の裏側に、必ずと言っていいほど現れる都市伝説のような者たちじゃが、まさか、現代にまで生き延びておったとは……まぁ、今回の件でその首魁が吸血鬼(ヴァンパイア)だと分かったので、納得のできることではあるがな……」


 ふむ?イメージとしては、モリアーティ教授がロンドンに張り巡らせた大犯罪組織の拡大版か。しかし、何のために、そんなことをしてるんだ?吸血鬼は、本来、目的を持たない連中なはずだが……


「まぁ、今はその話は脇に置いておくとして、奴隷狩りにあった者たちが捕われている商会の摘発の話に移ろうかの……」


 ……。


 その後、商会の摘発はスムーズに行われ、捕われていた者たちは速やかに、故郷へと送られることとなった。森妖精(エルフ)については、俺が時空魔術で直接、送り届けた。

 また、人蜘蛛(アラクネ)人鳥(ハーピィ)も捕われていたため、多少のイザコザがあったものの、シュテンに来てもらい、俺の迷宮(ダンジョン)への移住というカタチで決着がついた。


 さらに、獣王国・冒険者協会アドベンチャーズ・ギルド本部に呼び出された。

 何事かと思えば、魔群の侵攻(スタンピード)での功績により、獣王その他冒険者を証人として、白金級への飛び級を言い渡されるのだった。


 そして、問題の取り敢えずの解決を見て、俺たちは、俺所有の迷宮に赴くこととなった。

章終わりのような話ですが、前話後書きの通りに、三章はまだまだ続きます!


皆さま、応援のほど何卒宜しくお願い致します。

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