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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第一章 忘れ去られた地下墓地
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進化

 暫定魔力が、俺に取り込まれると今までと少し違う感覚を覚えた。

 なんというか、身体がムズムズとした。


 すぐさま、真理眼(イデア)を行使する。


『個体名:No Name Lv.11

 分類:屍霊(リビングデッド)

 種族:まつろわぬ(アンビアラブル・)喰屍鬼(グール)


 ……。種族が変わっている。進化だろうか。


『まつろわぬ喰屍鬼:屍鬼系統の屍霊が進化する喰屍鬼(グール)の亜種。通常の喰屍鬼と違い、必ずしも人類(プライミッツ)の屍を喰らう必要はなく、獣の死体でもその存在を維持できる。他の屍霊よりも、うらみが薄く、負の魔力への抵抗が見られる。』


 進化のようだな。 

 負の魔力への抵抗……。俺の生前の感覚のことか?しかし、ここには人型死体しかないが……。次の階層に期待か。


 さて、特性も確認するか。ふむ、増えているな。


『特性

 ・鋭牙尖爪:任意に、犬歯を伸ばし鋭くし、爪を伸ばし尖らせることができる。

 ・喰再生:食事によって、肉体の損傷を回復する。

 ・無限の胃袋:いくらでも喰らうことができる。』


 ふむ、食事によった能力といったところか。狩りのための爪とトドメの牙、さらには、獲物を無駄にしない胃袋と。


 固有特性に変化は無いか。まぁ、封印状態だし、そう簡単には解放されないのだろう。


 さて、……。階層主(エリア・ボス)には世話になったし、喰べるか。

 いや、別に親しくなると食べたくなるとかそういった感覚はないのだが、なんというか目の前に屍があると食欲という生物の原始的本能が刺激されるのだ。

 それに骨鬼(スケルトン)を素手で殴っていたわけだから、痛覚はなくとも多少のダメージがあることが分かっている。であるからして、ここは身体を回復するためにも食事の必要があるのだ。


 ……。誰に言い訳をしているのだろうか?


「……いただきます」


 合掌ののち、俺はその骨を手にとり、噛み砕いた。

 味は無い。進化したとはいえ、未だ味覚、嗅覚、触覚は存在しない。聴覚が僅かに良くなった気がするが、誤差のようなものだ。視覚はもともと、固有特性のおかげで生前よりも鮮明だ。


 ふむ、このポリポリ感は割と……。

 この、骨髄もなかなか……。


 ……。


「ごちそうさまでした」


 ふむ、まぁ、存在自体が変化しているので、思ったよりも嫌悪感はないな。

 肉体のほうは、骨の修復された感覚がある。奴に、斬られた傷はまだ、あるが、これは肉を喰わないと回復しないのだろう。


 よし、行くか。俺は、錆び付いた剣を握って、立ち上がり、次の階層へと降りていった。

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