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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第二章 王国と大森林
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お誘い

 魔力操作(マナ・コントロール)・派生技術【念話(テレパス)


 俺は、カーラとの間に魔力線(パス・ライン)を繋ぎ、【念話】を行使、思念だけで会話できるようにする。ちなみに伝える意思がなければ伝わらない。


『カーラ、聞こえるか?』


「うわ!?なになに?」


『聞こえてるようだな。これは【念話】だ』


『あっ!なるほど、お兄さん、魔術師なんだ』


 どうやら魔術の知識があったらしいカーラは、すんなりと受け入れ、思念で会話する。


『俺がどんな吸血鬼(ヴァンパイア)だと感じ取れる?』


『ん?どういうこと?吸血鬼は吸血鬼でしょ?』


 どうやら俺が異常個体であるとはわからないらしい。


『違うな、俺は吸血聖人(ヴァンパイア・ホープ)という異常個体だ。でなきゃ、神聖魔術(サクラメント)を使えるわけがないだろう』


『あっ、そっか、確かに。へぇ、じゃあ、お兄さんって吸血衝動はどうなってるの?』


『血を吸わなきゃ、生きられないということはないし、衝動も抑えられる』


『そっか……私と一緒だね!』


 なにやら、少し暗い雰囲気を漂わせたあと、カーラは気を取り直すように思念に張りを持たせた。


『そうなのか……吸血人(ダンピール)も……』


「ジャック!」


 俺が何か言おうと思念を送りかけたところで、イジネの呼び声が聞こえた。思念を中断して、そちらを向く。


「イジネ、どうした?」


「いや、ありがとう。首輪を外してくれて。ついては、お礼がしたいから(コロニー)まで来てくれないか?森で迷っていたようだし、疲れてもいるんだろう?」


「わかった」


「そうか、良かった!……うん?そちらは一緒に捕まっていた子か?」


「あぁ、そうなんだ、この子は……」


 俺がカーラをどう紹介しようかと口籠るとカーラが前に出た。


「カーラ・ブラッドローズです」


「ブラッド……?失礼だが、もしや」


「はい、吸血人です」


 カーラはあっさりと自身の素性を明かした。


『おい、良いのか?』


『うん、森妖精(エルフ)はその辺り理解があるよ』


 まだ、繋げていた【念話】で問いかけるとそんな回答がなされた。


「そうか。人間(ヒューマン)は未だに君たちを蔑んでいるのか。忌み子どころか、率先して怪物を殺してくれる良き隣人であるというのに」


「仕方ないよ、一番襲われるのは人間なんだから!」


 カーラのことは正しいらしく、イジネは同情的な言葉を発した。カーラはそれにわざとらしく元気に応対していた。

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