魔術学院
鏡で自分の姿を確認したあと、俺は再び、「魔術入門」を開いた。
『さて、この本で独学しようとしている者にも一応、示しておこう。四大国すべてが隣り合うために独立自治区と認められた自由都市リベラルに存在する魔術の聖地を知っているかな?
その名を魔術学院。七つの魔術体系そのすべてを探究するための研究教育機関だ。かくいう私も、この学院の卒業生であり、現教授だ。』
ふむ。著者は教授だったのか。自由都市ねぇ。俺はそもそも四大国がどれを示すのかもわからんが、他の本でわかるか?まぁ、いい。続き続き……
『魔術学院は、魔術の実力に応じた階級を規定している。それをここに記しておこう。
第七階級 徒弟:この本を開いている君たちや学院の学徒たち、つまり、未だ見習いの者たちのことだ。
第六階級 術士:学院の卒業資格を得た取り敢えずの魔術体系を修めた者たち。彼らは研究者である魔道士となる者、実際に使う魔術師として世の中で活動する者に分かれる。宮仕えになると魔導師と呼ばれる。
第五階級 導師:多くは、徒弟への指導資格を得た私も含めた教授たちのことだ。
第四階級 開祖:これはいわゆる名誉階級で、新たな魔術や理論を考え出した者に贈られる。また、この階級になると、階級が変動しないため、その実力はピンキリだ。
第三階級 君主:七つの魔術体系それぞれの学部長たちが主な該当者だ。学部長への就任と同時に贈られるので、実際の実力が疑わしい政治家紛いの奴もいる。
第二階級 偉人:事実上の最高位。魔術で、偉業を成し遂げた者に贈られる称号だ。
第一階級 冠位:魔術王に匹敵するほどとまで評価された者に贈られる称号。ここ千年ほど、空位であるので、幻の階級となっている。
魔術学院では、バッジが配られ、その材質で階級がわかるようになっている。第七階級から順に、鉄、銅、銀、金、白金、霊銀、神鉄だ。彫られている紋様は天秤。正と負のバランスを保つという意味だと言われるが、その由来は歴史の流れとともに紛失している。』
おぉ……この作者、君主に恨みでもあるのだろうか。なんか悪意があるな。
やっぱ、霊銀と神鉄あるのなぁ。