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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第一章 忘れ去られた地下墓地
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初戦闘

 この場が迷宮(ダンジョン)であることを確認した後、俺は扉を潜り移動を開始した。

 扉の先には、やはり石造りの通路があり、その壁には、時たま、空洞があったり、棺桶が収まったりしていた。


 触覚の無いせいか、あまり意識していなかった俺の格好は、上下に最低限の衣服を身につけ、裸足であった。髪の色なんかを見た限り、生前の身体だと思われる。しかし、自身の記憶も曖昧で確信はない。


 ヒタヒタという気分で、散歩するように歩いているが、内心では少し恐怖心がある。何せここは迷宮。おそらく、俺とは違い、理性のない魔化物(モンスター)たちが住み着いていることだろう。


 ふと、違和感を覚えた。俗に気配とも呼ばれるような感覚だ。

 立ち止まって意識を集中してみた。すると、なにやら邪なチカラが感じ取れる。右斜め前方だ。その先は、ちょうど角のところで死角になっている。


 気配は近づいて来ていた。しばらくして、足音らしきものも聞こえる。カタカタだろうか?硬質な音だ。


 やがて、俺の視界に入ったそれは、人骨だった。

 ほぼ反射的に真理眼(イデア)を行使。


『個体名:No Name Lv.1

 分類:屍霊(リビングデッド)

 種族:骨鬼(スケルトン)      』


『骨鬼:白骨死体が長い年月をかけて、負の魔力を溜め込むことで屍霊と化した魔化物。肉がついていないため、軽く力は弱いが素早い。他の屍霊族と同じく、生者を怨み、その生命そのものを感知することができる。』


 ふむ、俺の種族は屍霊としては特殊なのだろうな。おそらく、一般的な屍霊はその誕生に長い年月を必要とする。

 うん?「ウラミ」の表記も違うな。俺のは、ひらがなだったはずだ。どういう基準だ?


「うお!?」


 少し、考え込みすぎたか。目の前に骨鬼がおり、噛み付かれそうになった。


 ……。ふむ、俺のほうが素早いな。


 俺は、そそくさと骨鬼の背後に周り、その頭部に拳を叩きつけた。


 ドン!だろうか?流石に割れることはなかったが、ヒビが入り、そこからなにやら、淡く黒に光るものが漏れ出ている。

 ふむ、しかし、我ながら凄まじい膂力だ。死体だから、脳の制限が外れているんだろう。叩きつけた感じ、触覚が無いため痛覚も無いようだ。まぁ、当たり前か。


 そんなことを考えていると、淡く黒に光るものは俺のほうに纏わり付き、それは次第に俺の中に取り込まれていった。


「お?」


 なにやらチカラの上昇を感じる。確認のため、自身を真理眼で見た。


『個体名:No Name Lv.2

 分類:屍霊

 種族:無傷(インタクト)()(ゾンビ)    』


 おお、レベルが上がっている。

 すると、さっきの黒い光は経験値?いや、そんな曖昧なものでは無いだろう。そうなると、候補としては魔力が最有力か?


 そういえば、俺は誕生の際、多量の負の魔力を浴びたはずだが……。


 なにもわからんな。まぁ、いい。進むか。

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