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屍は黙考する  作者: 龍崎 明
第一章 忘れ去られた地下墓地
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ミノさん……

 第二階層後半の探索を続けて、俺のレベルは18になった。その後、遭遇した魔化物(モンスター)のなかには、喰屍鬼(グール)武骨鬼(スパルトイ)魔骨鬼(デミリッチ)といった屍鬼(ゾンビ)骨鬼(スケルトン)の上位種がいた。


 奴らは、進化で多少の知恵を得ているのか、徒党を組み、集団で襲いかかってきた。骨に関しては、連携までしていた始末である。


 基礎スペック的に、こちらが強いため、負けることはないのだが、どうにも面倒であった。


 しかし、そんな第二階層ともそろそろ、おさらばである。今回は運良く、当たりを引いたのか、すでに奥に階段の見える広間の前まで来ていた。


 今回の階層主(エリア・ボス)はすでに見えている。中背の俺の二倍の体躯。鍛え抜かれ、くっきりと割れた腹筋をはじめとした強靭な筋肉。その姿に似合う大斧を握り、死者の濁った目を宿すそいつの頭部は、猛牛のそれ。


 そう、もうお分かりだろう。迷宮(ダンジョン)と言えば、このヒト。


 ミノさんである。


 真理眼で確認すると、こうなっている。


『個体名:No Name Lv.20

 分類:屍霊(リビングデッド)

 種族:牛人屍鬼(ミノタウロス・ゾンビ)    』


『牛人屍鬼:牛人(ミノタウロス)の死体に負の魔力が溜まり、屍霊と化した魔化物。人間(ヒューマン)以外の人類(プライミッツ)の死体が屍霊になることは滅多になく、なってしまった場合は生前の特徴を引き継ぎ、通常の屍霊よりも強力な存在になる。』


 うん、まぁ、原典のギリシャ神話では確か、アステリオスという名を与えられた個人であるが、ここにいるミノさんは関係無いだろう。そもそも、あれは死者じゃないし。


 さて、やりますか。


「セイ」


「チッ」


 開始の合図は、セイの浄化である。


 青白い光がミノさんに一直線に、放たれる。


「ブゥモーー!!!?!」


 ミノさんは、それをもろに喰らい、悶絶する。


 ダン!


 と踏み込み、ミノさんの背後に周る。無防備な背中に一閃。

 隕鉄(メテオライト)の刃は、強靭なはずのミノさんの皮を斬り裂き、肉を断つ。


「ブゥボー!!!」


 屍霊に気合があるのかどうかは知らないが、雄叫びを上げて、立ち直ったミノさんが大斧を振るう。

 俺はそれを横っ飛びにして躱す。


 ドゴン!


 凄まじい音がして、そちらを向けば、さっきまで俺のいた場所に、クレーターができていた。凄まじい膂力だ。

 人間の身体がベースの俺ではいくらなんでもあんな威力は出せない。


「ブゥルル……」


 ほとんど、獣と変わらない所作で逃した獲物である俺を睨みつけるミノさん。


「ミノさん、はっきり言おう。アンタを倒すのは、簡単だ」


「ブゥモボラァアアアアア!!!!」


 挑発を感じたのか、ただ、単に生者への怨みを爆発させたのかは知らんが、ミノさんは闘牛ばりの突進でこちらに突っ込んできた。


「セイ」


 無慈悲な俺の声に、ミノさんにまたもや浄化の光が着弾。


「ブゥモーー!!?!」


 ミノさんはのたうち回り、俺は悠々と近づいて、そのそっ首を斬り落とした。


 ふむ、これは最初の様子見も必要なかったか?まぁ、いいか。安全第一ということで。

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