まだまだ続く第二階層
さて、あぁ、レベルを確認しておくか。
えっと、16か。ふむ、種族には変化なし。セイのほうは相変わらず、10と。これは進化するのは、21かな?
うし、じゃあ、やり残しはないな、よし。
「セイ、行くぞ」
「チッ」
声を掛ければ、セイは腹を引っ込ませて、こちらに駆け寄り、肩まで登ってきた。それを確認した俺は、扉を無造作に開け放った。
「……」
「……チッ?」
なんと扉の先には、階段では無く、土が剥き出しの通路が延々と続いていた。
なるほど、この広間はおそらく、回避不能の巣窟の罠のようなところだったんだろう。そこに暫定だが迷宮主の干渉があったから、最後の部屋のように錯覚していたわけだ。
「……いくか」
「チッ……」
心なしか、セイの返事は元気がなかった。
……。
第二階層が続くことに落胆してしばらく。俺たちは、ヒタヒタという気分で歩いていた。
?
生命感知に反応があった。それは真っ直ぐこちらに向かってきていた。
「チッ」
セイも気付いたようだ。
やることは変わらないので、こちらからも近づいて行く。ちょうど良い小部屋に到着したので、足を止めて待ち受けた。
すぐに向こうもこちらにたどり着き、その姿を見せた。
……マジか……。
それはハエだった。いや、ただのハエならば、こんなに引いたりはしなかった。そのハエはなんと胴だけで人の拳ほどの大きさなのだ。拡大されることで虫特有の気持ち悪さがマシになるどころか、増幅されていた。
取り敢えず、真理眼。
『個体名:No Name Lv.13
分類:魔蟲
種族:腐肉漁り 』
『腐肉漁り:蝿が魔力の影響を受けて、魔蟲と化した魔化物。巨大化し、純粋なスペックが上昇しているが、それだけである。』
……。見た目だけのようだな。いや、うん、近づかれたくないので、それがネックだわ。しかし、魔蟲に浄化は効かないだろうから、遠距離攻撃の手段がない。仕方ない、腹を括って……
「って、うお!?」
それなりの速度で腐肉漁りが突っ込んできた。慌てて回避するが、別にスペック的にはこちらが上なので問題はなかった。しかし、気持ち悪い。
まぁ、倒さなければいけないので、そちらに目をやる。
?
「……セイ」
「チッ?」
突進された時に飛び移ったのか、セイが腐肉漁りを踊り食いしていた。すでに、奴は虫の息である。いや、すでに虫か。
うん、まぁ、なんだ。
「ありがとう」
「チッチッ!」
当然!とばかりにセイは、高らかに鳴いた。