覚醒
Happy New Year!(公開年月日2020年1月1日)
「うあ……」
ここは……?どこだろうか?目を覚ますと辺りは石造りの部屋だった。
それなりの広さがある。殺風景で物がなにもなかった。そのせいかやけに広く感じる。
自身が横になっているところに目を向けた。……祭壇?だろうか。それなりの大きさだが、真ん中で寝ると寝返りを打つ余裕はない。高さは、そこまで高くない。座れば、地面に足がつく程度だ。
ある程度の状況確認を終えて、俺は、横になった状態から身を起こし、地面に立った。
「ん?」
違和感を覚えた。自身の手に目を向ける。動作を確認した。握ったり、開いたり、指の一つ一つを動かしてみたり。
……感覚が無い。が、動作には全く影響がでていなかった。動いていることは認識できている。ただ、動くことによる触覚の反応がなかった。
何故、だろう?
「うお!?」
疑問の思考とともに、目の前になにやら半透明の板が現れた。昨今流行のVRのようである。恐る恐るそれを覗いてみた。
『個体名:No Name Lv.1
分類:屍霊
種族:無傷の屍 』
???本当にゲームのようだ。どうやら、俺は既に死者であるらしい。いつの間に死んだのだろうか。
ふむ、No Nameか。確かによくよく記憶を探れば、名前を思い出せないし、家族や友人などの記憶も無い。どうやら、人生経験がそっくり欠落しているようだ。ゲームやなんかの常識や知識は備わっているようだが、この板を見るにここは、俺の生前とは別の世界だろう。
さて、それで感覚の無いことの原因はこれだろうか?
『無傷の屍:死後間も無く、負の魔力を多量に浴びることで屍霊と化した魔化物。屍鬼の亜種。腐乱が見られないため、一見して人間に見える。死体であるため、嗅覚、触覚、味覚は無い。視覚、聴覚も僅かにある程度である。他の屍霊族と同じく、生者をうらみ、その生命そのものを感知することができる。』
ふむ、やはりか。しかし、視覚はかなり鮮明なのだが、このデータは間違いがあるのか?
「……お」
『特性
・生命感知:生命力そのものを第六感で感知する。
・不朽の呪い:風化による劣化をしなくなる。ただし、太陽に当たると徐々にダメージを負う。
・呪毒病魔:その身に宿す負の魔力によって、生者に対しての攻撃に病毒の呪いを宿す。
固有特性:哲学者
・真理眼: ありとあらゆるものを見ることができる。どのような隠蔽をも看破する。
・[封印]
・[封印]
・[封印] 』
特性、か。どうやら、この真理眼によって、俺の視界は鮮明なようだ。
さて、どうしたものか。当ては無い。この部屋を見回してみたが、扉らしきものは一つ。これを潜るしか無いだろう。
最後に、この部屋自体に真理眼を行使することを意識した。
『忘れ去られた地下墓地:古代にあった地下墓地。長い年月の流れにより、魔力を溜め込み、迷宮と化している。』
2021.3/14より新作を公開中!
短いですが、第一部までは毎日更新します!
タイトルは『亡国の騎士道』
是非、ご覧ください!