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愛は重くて強いもの  作者: 白狐
状況把握編(仮)
5/10

5

「なら、うちはどうなるんすかー?学園始まってすぐに子供を助けようとして馬車に引かれて死ぬんすよねー?」


 サミュエルルート。

 サミュエルは第二学年を束ねる学年長だ。

 秀才・美形・真面目。

 リオとの関係は幼馴染で幼い頃に交わした「大きくなったら結婚しようね」という約束を律義に守り、リオ以外の女性相手には一線を引いていた。

 正式な婚約はしていないが、時間の問題だろうと家族も友人も考えていた。

 だが、主人公が編入してきてサミュエルルートに入ると事件は起こる。

 リオが馬車の前に飛び出した平民の子供を庇って死んでしまうのだ。

 リオはハッピーでもバッドでも死んでしまう唯一のライバル令嬢だ。

 サミュエルはひどく落ち込み、食事も喉を通らなくなり次第にやつれていく。

 それでも気丈に振舞うサミュエルを支えて立ち直らせることが出来ればハッピーエンド。

 力及ばず、サミュエルの心に入り込むことが出来なければバッドエンド。

 サミュエルはそのまま弱り、帰らぬ人となる。


 ある意味一番平穏ではあるんだけど、死人がライバルというなかなかハードなルートだ。

 死人は強いぞー。なんたって綺麗な思い出の中に居るんだからな。

 汚い部分も見えてしまう生きた人間が勝とうと思ったらそれはそれは大変なんだ。

 実際、ハテハテで一番ハッピーエンドに辿り着くのが一番難しいのがこのルートだった。


「うち、サミュエルが健康でいられるなら子供見捨てるっすよー?二人でも三人でもぽーいって。」


「見捨てても無駄ね。その場合普通にリオさんが轢かれるわ。」


「普通にっすか!?」


「ええ、普通に。」


「うちの扱いだけ酷くないっすか!?」


 確かに酷い。

 修正力が働くとは言え、なんの捻りもなさ過ぎて悲しくなるレベルだ。

 リオちゃんは修正力を呪ってもいいと思う。

 がんばれ!リオちゃん!


「じゃあじゃあ、うちにはなんか特殊な力とかないんすか?このままじゃなんか納得いかないっすよ!」


「リオさんは殆ど不死みたいね。物理的に死ぬことは無さそうよ。」


 お次は不死ときたか。

 どんどん乙女ゲーから遠ざかっていくな。

 

「あ、やっぱりそういう系だったんすか?傷の治りがやけに早いからおかしいと思ってたんす。骨折が半日で治ったっすからねー。」


「リオ、よく今まで無事でいたね。そんなのバレたら大騒ぎになってたんじゃない?」


 この世界に魔法等のとんでも技術はない。

 そんな異常な回復速度がばれたらどうなっていた事か。


「もちろん、治ってないフリしてたっすよ。うちはハテハテのシナリオも好きっすからねー。この世界がハテハテだと分かってからは出来る限りシナリオから逸れないように役になりきってたっす。」


「うぐっ。」


 私だってシナリオも好きだ。

 さっき死のうとしたのはそれ以上にケビンに死んでほしくないからで。

 出来ればこの物語を壊したくないと思ってますよ。ホントに。


「あ、でもソフィちゃんの気持ちも分かるっすよ。うちも最優先はあくまで彼らっすから。」


 私の気持ちを察してフォローを入れてくれる。

 ありがとね。


「それにしても不死っすか。思ってた以上にとんでもないっすねー。あ、でもうちが馬車に轢かれても一命をとりとめてサミュエルとラブラブになれるっすか?」


 今までの話を聞く限りそんな簡単な話じゃないだろうに。

 リオちゃんはバカの子なのか空気を明るくしようと頑張っているのか……。

 どっちにしろ好感持てるわね。よき。


「元々リオさんが死ぬような事故よ。自然治癒で治るような物じゃない。生きてる事もダイモン家に秘匿されて一生軟禁生活ね。当然サミュエルはその事を知る機会がないから結果は変わらないわ。」


「うげ、確かにバレたらオカルトチックな疑い掛けられて大変な事になりそうっすねー。異端審問があるとか設定資料で見た気がするっす……。」


「あ、それ知ってる。メーカーが同人誌として出した本だよね?マニアック&ドロドロしすぎて公式ファンブックに載せられなかった情報が書かれてるやつ!」


「お、スクナちゃんもツウっすねー!」


 スクナちゃん、普通に同人誌とか読む子なんだ。

 それはそうだよね。

 彼らの為なら命も惜しくないって思える子だもん。

 ある程度の年齢に達してるよね。

 今の姿が10歳という年齢以上に幼く見えるからちょっとお姉さんびっくりしたよ。

 ちょっと気になるからと言って実年齢聞いたりしないけどね。

 聞いて80歳とか言われたらどうしていいか分からなくなるもん。

 いや、いいんだけどね。乙女はいくつになっても乙女なんだし。

 うん。


 ちなみに話題に上がった設定資料は発行部数がそれほど多くなかった為プレミアがついている。

 まぁその本は私も持ってるし?

 なんならこの話を広げて三日三晩語り合おうか。

 それはそれで素敵な時間を過ごせる気がするよ。


「ごほん。話を戻してもいいかしら。今割と重要な話をしているのだから、何かしらの解決の糸口を見つけてから趣味の話に移ってもらえる?」


 そりゃそうだ。

 これは彼らの幸せが掛かっている重要な話し合いの場だ。

 あまり横道にそれるのはよろしくないよね。

 ソフィちゃんが居なければ私も喜んで会話に入るところだったよ。

 自重、自重。


「ソフィ、持ってないの?ハテハテ愛は私の方が上だったみたいね。」


 スクナちゃん煽っていくぅ!

 気持ちはちょっと分かるけども!

 愛の大きさを自慢したいファン心は分かるけども!

 ここは大人しくしようよ。

 私も語りたいのを我慢してるんだから。


「当然、持っていますよ。観賞用、布教用、保存用で三冊。ハテハテ愛を比べるのでしたら、そうそう負けませんよ?」


 ソフィちゃんも大概だな。

 ちょっと乗り遅れた感があるんだけど、私もこの会話に入っていい流れですかね?

 

「ならこんな話は知ってる?ハテハテって元々は剣と魔法のファンタジーの世界をベースにするつもりだったって――」

 

 お姉さん、語っちゃうぞ!

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