1
つたない文章な上、乙女ゲー詐欺です。多分。
プロットも着地点も決めずに即興で書いているので終わりは見えません。はい。
出来れば短めで綺麗に着地したいと思ってますがどうなることやら。
少しでもお楽しみ頂けますれば幸いでございます。
「恋の果て 愛の果て」通称ハテハテ
このゲームはいわゆる乙女ゲーとして発売された。
内容は中世ヨーロッパ風の国で舞台は学園。
下級貴族の主人公がいい男を射止めるという使い古された王道物。
新規メーカーが発売した一作目という事もあり、少々システムに荒い部分はあるけど許せる範囲。
そもそも私はパッケージに描かれたキャラクターに一目惚れして買ったので大抵の事は許せた。
ストーリーは二の次、見た目が心に刺さったキャラクターとイチャイチャ出来ればそれでよき。
そう思ってたんだけど、実際にゲームをプレイしてみると推しがどうとかはどうでもよくなっていた。
だって全員かわいいんだもの!
普段凛々しい王子も異性に興味のなさそうな優等生も、ルートを進めればデレッデレに甘えてくる。
甘え方にもそれぞれ個性があってよき!
ハッピーエンドを迎えた後の砂糖をハチミツで煮込んだような甘々な展開がもう最高で!
一通り攻略した後もハッピーエンドを見る為に何周したことか。
バッドエンドなんていらないのよ!ハッピーエンドさえあればよき!
……と、言うのはあくまで主人公目線なら……の話なんだけどね……。
四人居る攻略キャラの各ルートにはそれぞれライバルとなる令嬢がいて、ハッピーエンドの場合には主人公が攻略するルート次第で対応する令嬢が死ぬんだ……。
斬首だったり暗殺だったりそれぞれみんな違うんだけど、困ったことに死ぬのは決定事項。
なんで困ったかって……?
私がその令嬢の一人に転生しちゃったからだよ!
日本で普通にOLやってたのに、気が付いた時にはふかふかのベビーベッドにいたのよ!
体は上手く動かないし、周りはみんな外国人だし、恐怖でしかなかったわ!
でも人って言うのはどうしようもなければ慣れるもので、されるがままに流され、流され。
気づけば3歳になってた。
私がハテハテの世界に転生したのに気づいたのはこの頃だ。
それまで家名を知らなかったんだけど、この世界でのお父様にお客様が来た時に同席する事になってね。
お父様とお客様の会話の中で自分の家名を知ったの。
自分の家名だけならともかく、お客様についてきた息子さんの名前を聞いて確信したわ。
今の私の名前はシャロン・ハーツメル。
息子さんの名前はケビン・マクダウェル。
私はライバル令嬢で、彼は攻略キャラ。
私は噛ませ犬で、彼は私の婚約者。
それを知った時は恐怖したわ。
だってハテハテの世界だとしたら、主人公の攻略キャラ次第で……1/4の確立で私は死ぬのだもの……。
死因は斬首。
権力を利用して下級貴族に無理やり言う事を聞かせたり、評判が最悪な状態で主人公を暴漢に襲わせて殺そうとした事が止めとなった。
我儘で気に入らない事があると暴力的になったりで、家族からの評判も最悪だったから味方は誰も居なかった。
ハテハテのライバル令嬢の中で唯一悪役を地で行く暴君。
でも、恐怖と同時に不思議な高揚感も感じたの。
私が死ぬことによってケビンが幸せになれるのよ?
それに、もし、万が一……よ?
主人公がケビンを選んでバッドエンドを迎えてしまった場合、ケビンが死ぬ。
それが私にはきっと耐えられない。
いや、絶対に耐えられない。
きっと彼が死ぬなら私も後を追う事だろう。
どっちにしろ死ぬなら……私が犠牲になる。
この時、私は未来を捨てた。