1話 はじまりは森の中で…?
俺が5歳の時、両親が離婚した。
ほぼ無理やりだが、父についていくことになった。
そして、生まれてからずっと過ごしてきた
〝神雷村〟
から出て行った。
離婚の原因は簡単だった。
父さんの不倫だ。
父は、遠くの街でホストとして働いていた。
それを許す母さんも、だいぶ変わっていると思うが、ホストだからって不倫は良くないな、父さん。
俺が母さんだったら殴るわ、そりゃ。
あんまり軽いノリで話すことでもないが、両親が離婚してから俺は父さんから…俗に言う虐待を受けていた。
長いこと閉じ込められていたもんだ、ほとんど義務教育は受けてない。
だから俺、めっちゃバカ。
すごくバカ。
漢字は小学校3年生レベルくらいまで書ける。必死に勉強したんだ、俺。
話はちょっと変わるけど、母さんは父さんと別れた年に自殺したらしい。神社の入り口で。
近くにあった…なんだっけ?狐みたいなやつ。シーサーだっけ?
…まあいいや、それに母さんの血がついて取れないらしい。
…でも、神社の入り口で自殺するか?普通。
「絶対他殺だろクソが!!」
って警察に言ってやりたかったけどもう完全に他人になってたから言えなかった。
可哀想な母さん。大っ嫌いだ。
理由は…わかるだろ、ちゃんと俺の話聞いてたよな?
まあいいや。
それで、
母さんが自殺する
→父さんが俺に虐待し始める
→警察にバレて父さん捕まる
→養護施設に入れられそうになったけど父さんの貯金全部貰って俺は昔住んでた家に1人暮らし
こんな感じ。
まあ良くも警察はずっと気づかなかったよな。俺、小学校にも中学校にも行ってないのに。雑すぎるよな、マジで。
とりあえず、今は俺がこれから住むことになる、いわばラブリー・チャーミングマイハウスを、地図を見ながら探しているわけだ。
…いや、ここどこだよ。
とりあえず生活用品は全部買ってトランクに詰めてきた。だからめちゃくちゃ重い。
最悪だ、クソ。
口調が悪いのは父さんのせいだ!(汗)
こうやって人のせいにするのも父さんのせいだ!(汗)
周りを見渡しても木、木、木、木!!!
……どうやら俺は、とんでもないところに迷い込んでしまったらしい。