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殺人
見たという噂はすぐに広がっていく。
数日中には町中の人が、その教会の郊外墓地で見たという話でもちきりになっていた。
そのうちに、別の事件が起きて、その噂もいったん落ち着いた。
よくある殺人事件だったという記録が残っている。
被害者は女性、19歳、教会で奉仕をしていた方で、その当時の記録が残っている。
それによると、昼間に教会で仕事をし、夜は協会附属の寮で寝泊まりをしていたそうだ。
誓願を20歳になるとする予定で、女子修道会に入るつもりだったらしい。
その殺され方も酷く、なんと心臓が食いちぎられていた。
首は明らかに人間の手形があったのだが、その力の入れ方が尋常ではなかったようで、その力のままに骨が完全に砕けていたそうだ。
検視、と今ではいうのだが、それをするとわかったのだが、死因は頸椎骨折。
だが、心臓を抜き取ったのはどういうことなのか、という謎はのこったが、これは妖怪の仕業、といったところで早々に幕引きを図った。
しかし、これがはじまるだということが、誰も知らなかった。