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エレフセリア・オリジン  作者: 音無 ハヤタ
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第1章 第1話 プロローグ

 これから語られますは、自由奔放なジジイが、気まぐれで自分の世界に招いた人々の物語である。


「……呼んだかの?」


 ほら、こんな風に呼んでもないのに出てくることとか

 本当に自由ですよね?


「良いじゃろ、別に。暇なのだよ!」


 良くねぇよ! 始まるのに時間かかるだろうが!

 少し黙ってろ!


「はぁ〜、最近の若いもんは年寄りを労わる心がないのかの〜」


 ジジイが出てきた所為で長くなったので、そろそろ始めたいと思います! それではどうぞ!


「始まり〜始まり〜」


 〜〜〜〜〜〜〜


 まだ春の桜が咲いている……はずもないクソ暑い真夏

 日の朝、一人寂しく本を片手に歩いている少年がい

 た。


「はぁ〜、暑すぎんだろ!  学校始まってから2ヶ月くらいしか経ってないのに。」


 そんな独り言をブツブツ言いながら、本を読みながら

 歩いていると、後ろから不審な影が二つ忍び寄ってき

 た。


「「わっ!!」」

「うわっ!」


 背後からいきなり驚かされた少年は、咄嗟に振り返りながら背中から盛大に転んでしまった。

 その様子を見て、後ろから驚かした犯人たちはクスクス笑い合っている。


「痛って!  ったく、お前らさぁ〜、いつもそうやって驚かしてくるのそろそろやめてくれないか?」


 そう言いながら、腰のあたりを手でさすりながら立ち上がった少年、(たちばな) 紅羽(くれは)は、笑い合っている二人を呆れた目で見ている。


「いいじゃねえか、いつものことだろ?」

「そうそう、いつものこと!」

「茶化すなよ!!」


 いつもいつもこうゆうやり取りをしているのが、紅羽の幼馴染、維勿咲(いなしき) 怜空(れく)緋久咲(ひくしき) 結城(ゆうき)の二人だ。この二人とは、小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた間柄で、紅羽にとって、とても大切な親友である。二人とも苗字が変なのは、家柄のせいである。


 この二人の家は、昔から代々受け継がれてきたこの世界をさまざまな分野から支えている "五咲ごしき" という五つの一族である。

 そのうちの二つが結城の家で "緋久咲ひくしき"  と 怜空の家の "維勿咲いなしき" である。なぜそんな二人と幼馴染なのかは、いろいろと訳があるのだが、ここでは言わないでおこう。


「……いつまでも続けばいいのに。」

「なんか、言ったか?」

「いや……何でもない。」


 紅羽は、学校への道を三人並んで歩く姿をとても心地よく感じて、ふと真夏を思わせる眩しい太陽が光り輝く青空を見上げるのであった。


 こんな日々がいつまでも続いたらと、この時までは思っていた……。


 学校も終わり、夕日が見え始めた頃、校門の前で一人本を片手に待ちぼうけを食らっている紅羽は、他の下校している生徒たちを見ながら、時間が過ぎていくのを感じていた。


「ごめ〜ん、遅れた!」

「悪い悪い、結城がさぁ、忘れ物したーって、教室に戻ったから遅れた。俺は断じて悪くないからな!」

「あ〜〜、そうやってすぐ私のせいにする〜! そう言う怜空もその後トイレ行ってたじゃん!」

「トイレは仕方ないだろ!」


 二人が必死に言い訳を言い合って、遅れたのを誤魔化そうとしている様子は、昔二人が喧嘩して親に怒られていた時のことを思い出す。


「まあまあ、二人とも。落ち着いて、考えてみろよ!

 待たされたのは、俺なんだぜ?」

「それもそうだな、いくら言い訳したところで遅れたことには変わらないからな! すまんな、待たせて!」

「私もごめん、待っててくれたのに」

「まあ、気にしてないから! 良いけど。」


 二人が必死なのが、少し面白かったのは言わないでおこう。


 校門からしばらく三人で歩いていた帰り道……


「……ん?」


 ふと、何が気になったのか、紅羽が横を向いた。


「どうした? 紅羽?」


 紅羽が横を向いた先にいたのは、薄暗い路地でお爺さんが数人のヤンキーに絡まれている姿だった。


「ほらほら、取れるもんなら取ってみろよ!」

「返しておくれ、大事な杖なのじゃ。それが無いと帰れないのじゃ。」

「じゃあ、じいさん! この杖返して欲しかったら、金出せよ!」

「今は持ってないのじゃ。」

「じゃあ、孫でも呼んで出してもらえ!」


 ヤンキーたちが、笑いながらお爺さんを脅している。

 いつになっても、こんな事が起こすうのが、人間って生き物なのだ。


「……仕方ないなぁ〜、行くか!」


 それを見た紅羽は、助けに入ろうとしたが、怜空に止められた。


「まあ、待て! ここは俺に任せとけって!」

「おい、待ってて! おい……おっと!」


 怜空を止めようとした紅羽にカバンを放り投げて、そのヤンキーたちに向かっていき、ヤンキーの一人が持っている杖を奪い取った。


「おい、お前ら! 爺さん脅して楽しいか?」

「なんだ? 邪魔すんじゃ……お前は!? 維勿咲の次期当主じゃねえか!?」

「マジかよ!?」

「やばくね!?」


 怜空を見た瞬間、ヤンキーたちが驚き、慌てている。

 これこそが、この世界における五咲の権力である。


「今回は、俺の顔に免じて見逃してやるから、さっさと失せろ!」


「「「は、はぃぃぃ!!」」」


 ヤンキーとは思えないほどいい返事をしながら、ヤンキーたちは颯爽と去って行った。それを見ていた紅羽と結城は大爆笑していた。


「あははは! いや〜、ホントに面白いな! 俺の顔に免じてだって!」

「そうだね! なかなかあんなセリフ恥ずかしくて言えないからね!」

「お前ら、あんまり笑うなよ、俺だって権力を振りかざすのあまり好きじゃねぇんだから! 人助けぐらいにしか使わねぇよ!」


 この世界の五咲の権力が強すぎて、昔からある人には恐れられ、またある人には尊敬され、人間関係がなかなか上手くいかない事が多々あった。それは、結城も同じことで、なかなか友達ともそうゆう部分で上手くいかない時があったりもした。


「まあ、仕方ねぇんだけどな! 五咲に生まれたからには、背負わなければならない事だからな! そんなことよりも、ほい、爺さん、杖! 大事なんだろ?」

「おお、助かったのじゃ。」

「じゃあ、俺らはもう行くけど、ああいう奴らには気をつけろよな!」


 そう言って、早々と立ち去る怜空を追って二人も後に続き去っていった。


 残された爺さんは、杖を地面につき、三人の後ろ姿を感心した眼差しで見つめていた。


「ほぅ〜、また面白そうな三人じゃの〜。維勿咲に緋久咲あと、もう一人は謎じゃがの〜。あの三人にしようかなの〜。」


 そう言い残し、路地の闇に姿を消した……


 爺さんを助けた三人は、怜空の家の前に着いた。

 怜空の家、維勿咲の家は街中の真ん中にある高層マンションまるごと一つである。


「何度見ても、高いよな〜」

「私の家よりも高いよ〜」

「結城の家は、横に広いだろ! てか、屋敷をマンションと比べること自体間違いだからな!」

「それもそうだね!」


 結城の家は街の外れにある林を抜けた先にある横に広すぎる御屋敷である。広すぎて街が一つあるような感覚に晒されてる。


「やっぱ、咲階しきかいの差があるよな〜」


 咲階とは、五咲の中での階級である。ちなみに、緋久咲は二番目で、維勿咲は五番目である。


「いやいや、俺からしたら十分すぎるくらいのデカさだよ!」

「それこそ比べるのが間違ってるぜ!」

「そうそう、怜空の言う通りだよ!」


 紅羽の家はというと、その辺にありそうなごく普通の一軒家である。こう何度も比べてしまうのは、やっぱり、羨ましさから来るのかもしれない。


「話もこの辺にして、帰るか。じゃあな、二人とも」

「おう!」

「じゃあね〜!」


 紅羽は二人に手を振りながら、家のある方へ歩いていった。その後ろ姿は少し寂しそうな気がした。


「なんで、紅羽は五咲じゃないんだろうな?」

「そうだね、五咲だったら良かったのにね……」

「紅羽に逢えたのも奇跡みたいなもんだからな。」

「でも、逢えて良かったと思うよ!」

「そうだな、ホントに良かったと思う!」


 この五咲の二人と紅羽との出会いは、偶然に偶然が重なって奇跡としかいえない様な出会いだった。


「そろそろ、俺たちも帰るか!」

「そうだね、じゃあまた明日!」

「おう! またな!」


 別れを告げ、それぞれの家に帰っていった二人と紅羽。


 この三人が目を覚ましたのは、明日の朝ではなかったのだった……















これが、初投稿なので、いろんな意見や感想を貰えると嬉しいです!

どうぞ、温かい目で読んでください!


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