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3 人は群れをなし時として人を排除する

久しぶりに投稿したので、読んでくれる人が少なくなってそうだなぁ。まあぼちぼちと書いていくので楽しみにしてくれると嬉しいです。それでは2話始まります。

 人は群れを成さなければ生きていけない。何かするときには誰かと一緒でないといけない。逆説的に一人でいることは間違っている。ただ一緒にいれば満たされる、そんな上辺だけで繋がった関係だけで日常を愉しんでいる。


 そしてその群れから弾かれた者は居場所を失い世間的にはマイナス評価を受ける。一人ぼっちだと...


 そんなことを考えてる最中、後ろから掛けられた優しい声にはどこか懐かしく心が落ち着くような不思議さを感じる。


「おはよう、ミツル」


 スラッと高い背丈で肩に掛からないぐらいのショートカット、チークで綺麗に塗られた頬は艶やかで血色がある。出逢った99.99%の男は一目惚れするのではないだろうかというくらいには美人さんだ。


 こんな俺と一緒の空間にいるってことが、おそらく回りから見れば不自然でしょうがないだろう。


 相田涼あいだりょう。佳の一歳上の姉であり、一年遅れでつまり浪人してこの学校に入学した。この学校も一応世間から見れば最難関の私立大学という認識である。入った側から見ればそのようなことは感じられないのだが。なので浪人を経て入学する人も多い。


「また一人でここに居るんだ」


 少し揶揄い気味に放たれた言葉は何度言われても俺の心を抉る。


「別にいいだろ、ひとりが落ち着くの」


 群れを嫌う孤高の存在が如く、ひとりでいる時が一番安心するというぼっち精神を全開にする。


「りょう姉こそこんなところにひとりでいるじゃんか」


 りょう姉と呼んでるいるのは一つ歳上ということだけでなく、相田姉弟とは小学生の頃からお互いの家に遊びに行くくらいには仲がよかった証拠でもある。


 そしてなんの違和感もなく4人席の向かいに涼が座る。


「なんか女の子達といるの疲れちゃったのよ」


 涼はそんな群れを引き連れるでもリーダー的存在であり、彼女の行くところに大量生産型のJD達がついていくと行った感じ。


「へぇ、まあ女子の人間関係は複雑そうだもんな」


 他人事のように皮肉気味に言って見せる。


「そうよ、もう大変...でも貴方みたいな年中一人ぼっちで、人間関係になんの悩みもないというのもまたどうかと思うけれど?」


 煽りを煽りで返すとは、6才からの付き合いも伊達ではない。付き合いというと良いように聞こえるが、涼の方も俺に半ば呆れて面倒を見てくれてると言っても過言ではない。


「他人のことを考えてる時間があるならそれを自分に使った方が合理的だろ」


いい加減こんなこと言う俺なんか見放されても良さそうなのだが...


「そうかもしれないわね......」


「えっ」


 思わぬ同意の声に少し怯んでしまう。


「何よ、共感してほしいからそんなこと言ったんでしょ?」


 少し顔を顰めているが何処となく笑っているようにも見て取れる。心ではニヤけて俺のこと弄んでいるに違いない。


「そ、そうだけど」


 会話の主導権はいつも向こうに握られてしまう。こちらの言いたいことがうまく伝わらない。


「やっぱり友達とか欲しくなちゃったぁ?」


 楽しそうに笑みを浮かべ、頭を左右にふりふりしながらこちらの返答を待っている。どうせ何の捻りもない返事をすれば、つまらないといってプイっとそっぽを向くんだろう。


 返答に困ったので少しだんまりしていると、ラウンジの入り口付近で空いている席を探す一人の女の子が視界に入った。


 あの子って......


あまりにも長い間黙っているのでしびれを切らした涼が口を開く。


「どうしたの、そんなにぽかんとしちゃって」


「あ、いや、あの子って」


入り口の方を見ながらそういうと、涼はその子の方に目をやった。


「あぁ、あの子ね」


「りょう姉知ってるの?」


このときどうしてかわからないが、その子のことが少し心配になってしまう。本能かはわからないが身震いする。


「知ってるわ、もともと私のグループにいたの」


 私のって言っちゃうあたり、さすがのリーダーっぷりだなと少し感心してしまう。


「そうだったのか、俺なんかといないであの子と...」


 その続きをいうまえに、ある仮説に行き着く。もともとってことは...いまはどうなっているんだ...?


 すると涼から小さく寂しそうな声が漏れる。


「もうあの子はうちのグループじゃないから」


「えっ」


 普段人のことを嘲弄するのはもはや涼の性分といってもよいが、他人のことを無下にするようなことは決してなかったはずだ。それなのに人を蔑ろにするようなことを言うなんて...涼の顔を恐る恐る見てみると冷酷な目をしていた。


「もう単刀直入に言うわ、私が追い出したの」


 そう言い放たれた言葉は、なぜか俺の心に突き刺さった。そうやって見放されないために一人でいることを貫いて生きてきたというのに。


 一人で席を探すあの子が過去の自分に見えてしょうがない。まだ群れに憧れていたあの頃の自分に。


若干ですが物語が動き始めました。主人公は作者をこの作品に投影したものと思ってくれれば、、、作者の性格がどんなものかバレそうですが(汗)

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