③
皮肉屋ディアンナちゃん,苦労人なのかも知れません
アルフォンス様のアはアホの子のア。
どうも、ディアンナ・アルフォードです。
疲れているのよ、察してくださいな。
最近出回っている出来損なった愚かな噂と、高貴な方々に囲まれた一男爵令嬢からの恨みや妬みの視線、そして良識のある方々からの同情が増えていくのに比例してアルフォンス様の機嫌が良くなっている。
何故なになんで、どうしてかしら?
こんな事、答えはひとつしかないというのに。あー…現実逃避は悪い癖ね、しかし貴族令嬢たる私がこんなに度々現実逃避をしなければならないこの状態はいったいどういう事なのかしら。神は死んだのね。根っからの無神論者ですけれど。この世に生まれてから今までずっと、神なんて鼻で笑って生きていますわ。
あぁ、諸行無常。
アルフォンス様は、我がアルフォード家と釣り合う家柄と年齢の男性から私が疎まれ、私の競走倍率が下がっていることが嬉しいんでしょう。
あらあらうふふ、これが私の妄想ならどれだけ良かったかしら。これ、現実で言われたのよ。全くアルフォンス様は御阿呆様ねぇ、私のような性格が歪んで歪んでもはや円に近いほどの奇っ怪な女なんて、誰も相手に出来ませんわ。これは言い過ぎですけれど。
「見損なったぞ、ディアンナ・アルフォード!」
どうしました、王子様。
ミレーヌ様とにこにこアルフォンス様にべたべたされながらいつもの様に代わり映えのしない放課後を過ごしていただけなのよ、本当に。ええ…私は一体何をしたの。見損なうも何も、第一王子である御方が私に対して何かプラスの感情を抱いていたのでしょうか。見「損なう」とはそういう事ですものねぇ。
やだ私、もしかして陰ながら人気者だったかしら。嬉し恥ずかしうふふふふ。
この間私が真顔だったことを誰が責められるのかしら。
ミレーヌ様がすまなそうに用があると帰られてから、王子様が語られた真相が馬鹿馬鹿しくて…いいえ、高貴な方がおっしゃったことをそんな風に言うのは間違いですわね。
真相を語る?
私からしたら騙りなのですけれど、彼らは愛する可憐な花を守る花守りなのでしょう。
私が彼らの花である一男爵令嬢を害したなんて
その証拠に我が家の家紋と私の名前の頭文字が彫られた私の瞳の色と同じ紅の宝石のついたイヤリングが片方落ちていたなんて
とんだお笑いですわよね?
「それはおかしいですよ」
それまで黙って隣でほけほけと紅茶を飲んでいたアルフォンス様が不思議そうな顔で王子に言う。
どうしたのかしら。
アルフォンス様は余程自信があるのかはっきり言い切っていらっしゃる。そりゃあ常日頃ずっと一緒に居たから分かるって言うのは分かりますけれど、ほぼ身内からの証言なんて証拠としては甘く薄く弱すぎる。
ディアンナがそんなことする訳ない!とかならお断りですわ。無条件で私がしていないと信じてくれるのは嬉しいですけれど、そんな感情論、ちり紙程も役に立ちませんもの。
あらいやだ、年頃の娘なら「彼は信じてくれているのね」と頬を染めるところなのかしら、つくづく馬鹿らしい考えが頭を占領するお年頃ですこと。
「だってディアンナが持っているものは全て僕が 僕の目 と 髪の色 の物を用意してますから」
……あらあら。そんな目で見ないでくださいませ、王子様。
でも今アルフォンス様がおっしゃったことは本当。我が家も頭を悩ます半分諦め半分で、社交界でも常識のように知られている話。こんな話が常識の様に、なんて悪い夢か冗談かしら。
出会ってから碧色と薄い金色が私の周りに増えたなぁ、と思っていた幼少期の自分。
気付いて、その透き通る最高級の海を閉じ込めた宝玉の様な碧色も、光にあたっていなくても常に きらりきらり と輝く薄い金色も、アルフォンス様の瞳と髪の色でしょう。
それに思い当たったとき、私のものの全てはアルフォンス様が用意したもので、色も似たり寄ったりのもので溢れていたのよね、策略家の一面がチラリ。
私も他の色が気になることもあるのですよ、アルフォンス様。三度私が自分で選んだ他の色のドレスを涙と鼻水でびしょびしょにされてからは諦念に身を任せている。
「だから、ディアンナがディアンナの目の色である紅色の宝石がついたアクセサリーなんて持っているわけがないんです。」
彼女は僕の色しか持っていない事、結構有名なんですけどね。なんて、そこで自慢げに胸をはるからお馬鹿さんから卒業出来ないのよ、愚かで可愛いアルフォンス様。
あぁ、阿呆の子でしたかしら?
今週も読んでくれたんですかᕕ( ᐛ )ᕗワーイ
ありがとうございます。
次話も来週更新を予定してますᕕ( ᐛ )ᕗ




