新章 第2話 本命
事件は、あっけなく幕を閉じた、
私が、恐怖にその場を逃げるように家に帰り、母に言った。
それから、母は警察に連絡し、その事実が、はっきりしたのだ。
彼は、誘拐されたのではなく、死亡診断書によると、凍死だそうだ。
事件当初、雪が積もっており、何時間もいたことによる、体温低下に
よるものだということが、説明された。
私のせいだ。私が、俊を待たせていたから。こうなった。俊は死んだ。
両親や、俊の両親も私を責めず、悪くないよと擁護してくれたが、私
は納得しなかった。
私が、殺したのも同然だから。
だけど、ここで、私は何を思ったのか。俊のはにかんだ顔を思い出しだ。
今となってみれば、ここで、死んで冷たくなった俊をみても、何故かあの
はにかんだ顔を思い出すことができたのは、今となっても不思議だ。
そこで、私は思ったのだ。
このままだと、俊に笑わられる。
私が、しっかりしないとまた俊に迷惑をかけてしまうと。
そこから、私は、今まで通り、生きてきた。
俊がいない、日常を。
悲しくはなかった、俊のいない穴を友達が埋めていたもの。
友達と、笑い、泣き、喜びを共有してきた。
でも、それも終わりを迎えた。
それは、中学校を卒業し、高校に入学したところから変化があった。
私は、今まで勉強を蔑ろに、生きていたこともあり、近所の高校に入学した。
ここが、大きな違いだった。今まで、つるんでいた友達は、みな、ばらばらの
道に進んだのだ。
そう、私は、この高校で独りぼっちになってしまった。
そこからだ、俊が見えたのは。
初めて見たとき、幻かと思った。
けど、近づいてよく見ると、その俊は話しかけてきたのだ。
「おう!千春じゃん。元気だった?」
あの日とは、違い。成長した俊の様な印象を受けた。
けど、あの優しい目をした人物を私は片時も忘れることはなかった。
「……俊?俊なの?!」
私の問いかけに彼は、はにかんだ顔で、笑った。




