第11話 仲良しこよし
俺は、今一人、帰路を辿っていた。
どうしようにも、居心地の悪さがあり、俺のキャラ
ではないと思っていたから、何の後悔もしていない。
まず、俺に分の悪い条件だと分かっていたが、まさか
俺の青春生活そのものを破滅に導く要素になるとは、思わない。
明日、もう一度、千春と話し合うか。
軽めな罰でお願い、と。
傍から見たら、自分から罰を受けたがる変態を勘違いされそう
だが、俺は約束を果たさないと気に病む性分なんでね。
しっかり、チャラという承諾をもらわないと胸が痛む。
赤信号が、青に変わり、思い更けてたのをほどき、自転車のペ
ダルを漕ぐ。
徐々にスピードがつき、風を切る感覚に、俺は胸をときめかし
ていた。
しかし、千春があんなにも積極的にスカウトしてくるやつとは
思わなかった。
長馴染みの千春、小学校のころは、いつも俺にべったりで、空
気も読まず、将来の夢に、『俊君の嫁になる』なんて書いて、ま
るで、漫画みたいだと、クラス中で笑いものになったことがあっ
たな。
そんな千春も、今じゃ、高校生、化粧にマスカラに、マニキュ
アを塗りたくる花の女子高生だもんな。
なんか、自分で言っていて、千春の親父さんのなった気分だ。
結婚なんて、当分先のはずなのに、身近に感じるのは、なぜだ
ろうか?
そう、空想に耽っていると、ポケットから、着信音が鳴った。
だれだろうか、また、高杉がお菓子の材料を買ってこいとか
じゃないだろうな、あいつ、平気で俺をパシるからな。
見ると、千春からの着信だった。
おかしいな、あいつが俺の電話番号を知っているはずがない
のに、きっと高杉が教えたのだろう。
今さっきの事だろう。このまま、では揉めるだろうから。
直接会って話したかったが、向こうからかかってくるとは…。
多少の緊張とともに、電話に応じた。
「もしもし」
「あっ、俊。あのね、このあと、例の場所に来れる?」
例の場所?いったいどこのことを指しているのだろうか?
「覚えてない?ほら、私たちが、よく遊んだ公園あったでしょ」
ああ、なるほど。だが、なんで今となって、あの公園に?
詳細を聞こうにも、その後、すぐ切れてしまった。
たしか、あの公園、反対の道なんだよな。
ここから、家まで遠のくのは、しんどいが、今後のためだ。
ブレーキをかけ、俺は、あの公園……滑り台公園に向かうのだった。




