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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

強制入居システム

作者: いちご
掲載日:2026/03/07

素人がそれっぽく書いてるだけです。アドバイス・感想を書いてくれたらとっても嬉しいです。

 

「町の入り口でいつも挨拶してくれるお兄さん、転生者に乗っ取られたみたいよ」


「かわいそうに......」


 散歩で公園を通りかかると、ときどきこんな会話が聞こえる。

 この世界では、よく他の異世界で死んだ人がこの世界に転生者としてやってくる。

だが、転生者は0歳から生まれ変わるわけではない。かといって、元の世界での体がそのまま移されてくるわけでもない。残酷なことに、元の世界にいた人間の体を乗っ取るのだ。

 最近はこのシステムに慣れてきたが、元の世界に居た人間が新しく転生してきた新参者に乗っ取られるのはやはりいけ好かない。

 それに、いつ家族や俺自身が乗っ取られてもおかしくないのだ。


 ある平日の朝、目が覚めたと同時に今日も仕事があることに気づく。


「ああ、商人の仕事も始めたばっかりは楽しかったのにな」


 それでも俺は、家族を養うために働かなければならない。ベッドに張り付いたように重たい体を起こして、ふと俺の子供、翔太が寝ているはずのベッドに目を移すと......誰もいない。


「まさか......!」


 玄関の方から、ドアが勢いよく開く音がした。それは、いつもの幸せだった日常が壊れる音だ。窓から身を乗り出すように外を見ると、翔太のような何かが走っている。外見は全く翔太と同じだが、走り方が翔太ではないし、何より人格がすり替わったように雰囲気が全く違う。その違和感でちょっと気持ち悪くなりながら、俺は急いで妻を起こした。


「おい、起きろ! 翔太が転生者に乗っ取られたかもしれない!」


 俺は着替える暇も妻に行ってきますを言う暇もなく、護身用に持っていた剣を持って転生者を追いかける。

 子供を失った悲しみと、知らない人間に子供の体を乗っ取られたことへの怒りがこみあげて感情がぐちゃぐちゃになりながらも、復讐したい気持ちに従って転生者を追い続けた。


「どうして国は転生者を処刑しないんだ!?」


 疑問が浮かんだが、深くは考えない。

 俺はできるだけ全速力で走ってるけど、若く屈強な翔太の体を持った転生者ともすぐ40歳になる俺ではスピードが違う。走り続けている俺の足は棒を超えて糸のようだ。

 それでも三年の時を経てついに、転生者に追いついた。その間も転生者は強くなり続け世界を救い、王になって城に住んでいるらしい。


「翔太の体を乗っ取っておきながら......」


 俺は頼りない剣を握りしめ、城の中に突入する。心臓の鼓動が旅の中でも最高潮に達している。ここまで死なずに、本能のまま転生者を追いかけ続けた。冷静に考える時間など少しもなかった、というより考えようとしなかった。

 警備の目をかいくぐり、転生者を殺せるまであと一歩というところまできたが、警備に見つかってしまい俺は取り押さえられた。転生者を睨みつけながら叫ぶ。


「お前は俺の家族、翔太の体を乗っ取った!!!絶対に許さない!」


 骨が折れるほど強く押さえつけられているが、俺は抵抗し続ける。転生者はこう言った。


「本当にごめん。俺も転生したくてしたわけじゃないんだ。死んだら勝手に転生させられるんだよ」


 俺はその言葉を聞き、すぐに抵抗をやめた。今まで、何も考えず復讐の感情のままに追いかけ続けていた。そのせいで、こんなに簡単に思いつくこともわからなかったのだ。国が対応しなかったのも、神が決めたあまりにも残酷な転生というシステムには対応しようがなかったのだ。

 それに、転生者を殺したって翔太が戻ってくるわけじゃない。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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