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最強の生物

今回はルムの戦いをお送りします。

いったいどんな戦いが繰り広げられるのだろうか!?

 グレルの言葉と共に、おっとりとした様子のブルーメが観客達に向けて、手を振りながら会場へと歩いている。


 ぶかぶかのローブに、分厚いブーツ。そして歩く度に揺れる、はち切れんばかりの巨乳。


 「うぉおおおお!! ブルーメちゃん、最高!!」


 「頑張れ!! ブルーメちゃん!!」


 「可愛いぞ!! ブルーメちゃん!!」


 ブルーメの登場に沸き立つ観客席。しかし、熱い声援を送っているのは男性陣だけであり、女性陣はつまらなそうに不貞腐れた表情を浮かべていた。


 その天と地の差にグレルも、面白半分に煽り立てる。


 「おおっと!! これは凄まじい人気だ!! コロシアムトーナメントの紅一点!! 男性達を魅了するその人気は確かな物の様だ!! かく言う私も彼女の姿にメロメロです!! だが、その一方で女性達からは凄まじいヘイトを買っているぞ!!」


 そんなファンが極端なブルーメの後に続いて、ルムが会場に向けて歩いて来る。観客達にアピールするブルーメとは異なり、手を振る処か誰一人として目を合わせようとしない。


 その愛嬌の無さに男性陣は、つまらなそうに傍観しているだけだが、一方で女性陣からの人気は凄まじく、ほぼ全員がルムに向けて声援を送る。


 「ルム!! あんなビッチに負けるな!!」


 「こてんぱんにやっつけちまいな!!」


 「あいつの天狗っ鼻をへし折ってくれ!!」


 ブルーメの時とは対照的な反応を見せるルム。そんな奇妙とも言える光景をグレルは面白がって、更に煽り立てる。


 「これは凄い!! ブルーメの時とは打って変わって、女性達からの人気が凄まじいルム!! その圧倒的な声援に押され、男性達はすっかり萎縮してしまった!!」


 負けじと男性陣もブルーメを応援しようとするが、女性陣の修羅の様な形相と勢いに敵わず、申し訳程度に小声でブルーメを応援し始める。


 そんな中、ブルーメとルムの二人が相対する事となる。互いに顔を見合わせる。すると、ブルーメは穏やかな笑みを浮かべながらルムに話し掛ける。


 「凄い人気ですね。羨ましい限りです」


 「そうか? お主も先程まで中々の人気ぶりだっだぞ?」


 「はい、ありがたい限りです。お互い、実りのある戦いにしましょうね」


 「あぁ、そうだな」


 いまいち何を考えているのか、掴み所の無いブルーメ。ルムも社交辞令の様な返ししかせず、他の戦士達の様に神経を逆撫でしようとしない。


 「さぁ、両者準備が整った様だ!! それでは七回戦……」


 そう言うとグレルは、またいつもの様に銅鑼撥を手に持った。


 「始めぇえええええええええ!!!」


 そして、銅鑼を勢い良く叩き鳴らし、コロシアム中に音が鳴り響く。互いに向かい合うブルーメとルム。一定の距離を取りながら、いつでも攻撃を仕掛けられる様に構える。どちらが先制するのか、観客達に緊張が走る。すると……。


 「来ぬのか? なら、わしから先に行かせて貰うぞ」


 そう言うと、ルムは一瞬にしてブルーメとの距離を縮め、目の前に現れる。


 「っ!!? ハイヤ!!」


 あまりの速さに目を疑うブルーメ。しかし、彼女も一端の戦士。咄嗟の判断で、右膝をルムの腹に叩き込む。その時、何処からか“チャリン”という不思議な音が聞こえて来た。


 「…………」


 ブルーメの膝を腹に受けたルムは、大袈裟に吹き飛び、空中で一回転すると綺麗に両足から地面に着地して見せる。


 「「「「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」


 この一瞬の攻防に、観客達は興奮の雄叫びを上げ、グレルの解説にも熱が入る。


 「何という激しい戦い!! 一瞬で間合いを詰めたルム!! そこに迷い無く攻撃を叩き込むブルーメ!! 両者、一歩も譲らない!!」


 が、攻撃を受けた筈のルムはこれといったダメージは負っておらず、ピンピンしている。その理由、攻撃を繰り出したブルーメだけは理解している。


 「(瞬間……私の膝が彼女に当たる瞬間……彼女は半歩後ろに下がる事で、攻撃を紙一重でかわした。更にそれを相手に悟らせない様、わざと大袈裟にぶっ飛んで見せた。並みの戦士だったら、騙されている所だけど……生憎私は並みの戦士じゃないのよ!!)」


 すると、次に攻撃を仕掛けて来たのはブルーメの方だった。体を捻り、勢い良く片腕を遠くにいるルムに向けて突き出す。すると、ローブの袖から複数本のナイフがルム目掛けて飛び出す。


 「隠し武器か。中々、洒落ているじゃないか」


 しかし、これをルムは冷静に対処する。飛んで来たナイフを器用に指と指の間に挟み込んでキャッチする。


 「ぐっ……それなら、これは如何かしら!!?」


 ナイフ飛ばしを意図も簡単にキャッチされてしまったのを見て、歯を食い縛るブルーメ。すると今度は走り出し、接近戦に持ち込む。


 「ハイヤ!! ホイヤ!! ソイヤ!!」


 「…………」


 繰り出すのは蹴り中心の攻撃。ハイキック、回し蹴り、かかと落とし。厚いブーツのせいか、いまいちスピードが出ない。ルムは蹴りが当たるギリギリの所で回避して見せる。


 「おぉ!! ブルーメ、見た目に反して激しい猛攻!! しかし、それを余裕で避けるルム!! これは最早勝負あったか!!?」


 「ふふっ、それはどうかしらね」


 不適な笑みを浮かべるブルーメ。次の瞬間、ブーツの爪先から仕込まれていたナイフが飛び出す。先程からギリギリを避けてていたルム。ナイフ分のリーチまでは避けられそうに無かった。


 「首をカッ切ってあげるわ!!」


 ナイフがルムの首筋に当たる。そして……ナイフが根本からポキッと折れてしまった。


 「なっ!!?」


 「惜しかったな。わしのウロ……ひふ……そう皮膚は鋼鉄よりも硬い。ナイフごときじゃ、傷一つ付かんよ」


 「何よ……何よそれ!!」


 ルムの言葉に激昂し、ブルーメはもう片方のブーツから仕込みナイフを出し、ルムの体に突き刺そうと真っ直ぐ蹴りを入れる。


 しかし、案の定ナイフは折れてしまい、その折れた箇所が飛び散り、運悪くブルーメのローブを切り裂いてしまう。


 「おっ、おおっと!! こ、これは!!? 予想だにしない事故が起こってしまった!! 不可抗力だ!! ブルーメの裸体が今白日の下……に……?」


 ブルーメのあられもない姿を拝めると、男性陣とグレルは食い入る様に見る。が、そこに現れたのは全身にありとあらゆる武器を隠し持ち、それらを隠す為に極限まで痩せたガリガリの体。唯一肉のある巨乳が不自然に見える。最初、体を動かした際に聞こえた“チャリン”という音は、体の武器同士がぶつかり合った音だったのだ。


 「おいおい、マジかよ……」


 「ガッカリだな……」


 ブルーメの真の姿に、男性陣はポツリポツリと愚痴を溢し始める。そんな掌を返す男性陣にブルーメは舌打ちを鳴らす。


 「チィ!! 男って生き物はいつもそうだな!! 大切なのは見た目で、中身なんか見向きもしない!! だから私は戦士になったのよ!! ああいう連中を見返してやる為にね!!」


 「お主も苦労しておるんじゃな」


 「同情なんかいらない!! 私が欲しいのは勝利だけよ!!」


 そう言うとブルーメは、全身の武器を使って、次々とルムに攻撃を仕掛ける。ナイフ、モーニングスター、メイス、細長い針、弓矢等々、これでもかという程の武器でルムに襲い掛かる。


 しかし、ルムの皮膚の前には無意味だった。弾かれたり、折られたりしてしまう。正に最強の生物その物だった。やがて、体に仕込んでいた全ての武器を使いきってしまう。


 「はぁ……はぁ……はぁ……」


 筋肉の無い体を酷使し、息切れを起こすブルーメ。


 「もう残っている武器も無いだろ。大人しく降参したらどうじゃ?」


 「武器が……無い……それはどうかしらね!!」


 そう言うとブルーメは何と、唯一肉のある二つの果実をもぎ取った。コロシアム内では驚きと恐怖の悲鳴が巻き起こり、ある者はショックで気絶してしまった。


 「奥の手は最後まで取っておくものなのよ!!」


 よく見れば、もぎ取った乳の先には導火線が付いていた。あの乳は偽物で、尚且つ強力な爆弾だった。するとブルーメは、徐に口に指を突っ込んで、恐らく差し歯であろう歯を引き抜く。そして上部分に手を掛けると、蓋の様に開いた。それと同時にまるでライターの様に火が灯り、それを使ってそれぞれの導火線に火を付ける。


 「これで……今度こそ終わりよ!!」


 そして、火の付いた偽乳爆弾をルム目掛けて投げ付ける。しかし、ルムは避ける素振りすら見せず、堂々としている。やがて爆弾がルムのいた場所で大爆発を起こす。


 「何という事だ!! ブルーメの爆弾をまともに食らってしまったルム!! これでは肉片すら残っていない!!」


 「私の勝ちよ!! あっはっはっははっはっはっは!!!」


 巻き上がる爆炎と黒煙。高笑いするブルーメ。ここにいる誰もがブルーメの勝利を確信していた。しかし……。


 「ほほぉ、これは今までと比べても中々の威力だな」


 「!!?」


 黒煙の中から声が聞こえる。まさかと思いながら、額から冷や汗を流すブルーメ。次の瞬間、黒煙の中から五体満足のルムが姿を現した。


 「な、な、何と!!? 信じられない!! 無傷!! 無傷です!! あれだけの爆発を食らっておきながら、傷一つ付いていません!! 彼女は本当に人間なのか!!?」


 「さて、次はどうするつもりじゃ?」


 「あっ、えっとその……降参します」


 まだまだ余裕のあるルムの姿に、ブルーメは両手を上げて降参を宣言した。その言葉を聞いたグレルが口にする。


 「決着!! 勝者はルム!! 見事、ブルーメを破った!!」


 グレルの言葉に観客達は大きく盛り上がる。そんな中……。


 「ブルーメ、カッコ良かったよ!!」


 「え?」


 「生意気だと思ってたけど、根性あるじゃん!! 見直したよ!!」


 「次のコロシアムトーナメントでも期待してるから、頑張ってね!!」


 開始前まで女性陣から、良い印象を持たれていなかったブルーメ。しかし、決着が付いた今は違う。彼女の度胸と根性に胸打たれた女性陣は、賛美の声を送ってくれた。その様子にブルーメは、照れ臭そうにしながらも、女性陣に親指を立てる。


 「……へっ、言われなくてもそうするよ!!」


 こうして、ルムの戦いは無血で終わりを告げた。

当然と言えば当然の決着。

次回、いよいよこのコロシアムトーナメントも折り返し地点。

優勝は誰の手に!?

次回もお楽しみに!!

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