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コロシアムトーナメント開幕

いよいよコロシアムトーナメントが開幕します!!

果たしてガミーヌ達は勝ち残る事が出来るのだろうか!?

 「な、何で……? ど、どうしてこんな所に……?」


 「ガミーヌ? どうしたのだ?」


 尋常じゃない冷や汗を流しながら、ぶつぶつと独り言を呟くガミーヌ。そんな彼女を心配してルムが声を掛けるも、聞こえていないのか、何処か上の空であった。


 ルムはガミーヌの両肩を掴み、大きく揺らしてさっきよりも強めの言葉で、声を掛ける。


 「おい、ガミーヌ。確りしろ!!」


 「あ……ルム……」


 ハッと意識を取り戻し、漸くルムの存在に気が付いた。


 「大丈夫か?」


 「え……えぇ、ちょっと考え事をしていただけだから……心配掛けてごめんなさい」


 とは言うものの、未だに体の震えは収まっていなかった。とても大丈夫な様には見受けられなかった。


 「知り合いか?」


 その原因は、明らかに特別席から姿を見せた二人組にあった。ルムは二人を見上げながら、ガミーヌに尋ねた。


 「…………両親よ」


 「何じゃと!? という事はつまり……お主、貴族の出だったのか」


 「まぁね。でも、家族との縁は切ったわ。今の私はあの二人とは何の関わりも無い」


 「そうか……」


 嘘だ。ガミーヌは嘘を付いている。それは数百年以上生きているルムだからこそ、見抜ける物だった。しかし、何故そうまでして嘘を付くのか、そこまでは分からなかった。勿論、それを聞く程野暮では無い。


 「何だかな……ん、どうしたエクス?」


 その一方で、エクスにも変化が起こっていた。いつも猫背だった彼だが、何故かこの時だけは背筋を真っ直ぐに伸ばしていた。それにより、二メートル弱の身長が本来の三メートル近い高さになっていた。まるで、あの二人の顔をよく見ようとしているみたいだ。


 答えは分かりきっているが、一応ルムはエクスに声を掛ける。


 「…………」


 「……まぁ、そうじゃろうな」


 予想通り、エクスは相変わらず無言のままだった。ルム自身も返事が返って来る事は期待していなかった。仕方なく、ルムは大人しく二人の挨拶が終わるのを眺め続ける。


 しばらくして二人は手を下ろし、そそくさと席へ戻っていく。二人の姿が見えなくなった事で、ガミーヌの震えは収まり、エクスも元の猫背状態に戻った。


 すると、同タイミングで司会のグレルが再び右手に魔力を集め、声を発する。


 「ありがとうございました。そして、もう待ち切れないという者達にこの言葉を告げるのをどれだけ我慢したか……いよいよコロシアムトーナメントの開幕だ

ぁあああああああ!!!」


 「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」


 グレルの宣言を切っ掛けに観客、そして戦士達が興奮の雄叫びを上げる。その興奮が冷めぬ内に、グレルは一回戦の組み合わせを発表する。


 「まずは一回戦の発表だ!! 一回戦の組み合わせは……グラオザームVSエクス!!!」


 「キヒィ!! イヒヒ……新鮮な……血……肉……!!」


 「…………」


 戦う二人の名前が告げられると、観客達は更に興奮し、自分の番じゃないと分かった戦士達は、二人をその場に残してゾロゾロと控え室へと戻って行く。


 それに続いて、ガミーヌとルムがエクスの横を通り過ぎる際、一言だけ呟いた。


 「こんな序盤で負けないでよね」


 「お主なら、あの程度余裕じゃろ」


 「…………」


 相変わらず二人の言葉に無言のエクスだったが、心なしか頷いている様にも見受けられた。やがて、舞台から戦士達がいなくなり、エクスとグラオザームの二人だけとなった。


 「フヒッ、ずっと……見てた……あんたのこと……」


 「………」


 向かい合う二人。戦闘開始の合図が鳴らされるまでの間、観客達は緊張した面持ちで静かに二人の戦士達を見守る。


 「あんた……首を……斬るのが……得意なんだろ? お、俺は……バラバラにするのが……イヒッ!! 得意なんだ……」


 「…………」


 グラオザームが一方的に喋るだけで、エクスは終始無言の状態。その様子にグラオザームは、顔を歪ませる。


 「あんたの……そのデカイ体を……今からバラバラにするのが……た、楽しみだ……イヒヒ!!!」


 「…………」


 挑発を仕掛けるグラオザームだったが、返事は無い。エクスの生意気とも捉えられる態度に、グラオザームは額に血管を浮かび上がらせる。


 すると、案内スタッフ達がグレルの横に小さめの銅鑼と、それを叩く為の銅鑼撥を手渡す。


 「さぁ、両者供に準備が整った様です!! それでは一回戦……始めぇええええええええええええええ!!!」


 そう言いながら、グレルは手渡された銅鑼撥で、銅鑼を叩き鳴らす。小さいながらも、コロシアム中に響き渡る振動音。その瞬間、グラオザームが走り出し、エクス目掛けて先制攻撃を仕掛ける。


 「細切れになりやがれぇええええええええええええええ!!!」


 グラオザームは武器を持っていない。いや、正確には己自身が武器なのだ。それは限界まで鋭く磨かれた“爪”。まるで動物の様に太く、そして女性の様に綺麗な爪だ。


 右手の五本から振り下ろされる引っ掻き攻撃。エクスは体を少しだけ動かし、これを冷静に最小限の動きで回避する。


 攻撃が当たらず、空を切ったグラオザームの爪は、そのまま流れる様に床へと吸い込まれていく。そして次の瞬間、石で出来た床がプリンの様に、意図も簡単に削り取られる。


 「…………」


 「フヒッ!!!」


 「な、何という事だ!! コロシアムが誇る硬さを備えた床を、爪で削り取ってしまった!! あんなのに当たってしまったら、皮膚どころか内臓まで引き裂かれてしまうぞ!!」


 「分かったか? 俺の……つ、爪は……鉄をも切り裂くんだ……今からお前も……ウヒッ、切り裂いてやる!!」


 すると、グラオザームは削り取った床の石をエクス目掛けて投げ付ける。体を少し傾け、細かな石の破片を華麗に避ける。それと同時にグラオザームが右手の爪を振り抜く。


 「…………」


 エクスは更にそれを後ろに一歩下がる事で回避する。しかし、グラオザームの追撃はそれで終わらなかった。続いて、左手の爪を振り抜いて来る。


 エクスは再び一歩下がる事で、その攻撃も回避する。だが、グラオザームは休みを与えるつもりは無いらしい。再び右手の爪を振り抜いて来る。そして、また一歩下がって避ける。左手、下がって避ける、右手、下がって避ける、左手、下がって避ける、右手、下がって避ける。それを何度も繰り返す。


 「こ、これは!!? 何とも一方的な戦いだ!! グラオザームの攻撃に対して、エクスは何も出来ず逃げ続ける!!」


 解説もグラオザーム寄りの物になりつつあるその時、遂に決着が付きそうな場面が訪れる。


 攻撃される度に、一歩ずつ下がり続けたエクスだったが、一歩下がろうとするとコロシアムの壁に阻まれてしまった。いつの間にか、壁際まで追い詰められていた。


 「これで終わりだぁあああああああ!!!」


 「…………」


 この絶好の機会を待っていたグラオザーム。もう避けられないエクス目掛けて、確実に仕留めようと両手の爪を一気に振り下ろした。


 が、グラオザームの爪が襲い掛かるその瞬間、エクスはその場で飛び上がり、同時に背の壁を蹴る事で、一瞬にしてグラオザームの背後へと回り込んで見せる。


 「な、何だと!!?」


 「こ、これは!!? いったい何が起こったと言うのだ!! 追い詰められていた筈のエクスが、いつの間にかグラオザームを追い詰めている!!」


 エクスの活躍に観客は大いに盛り上がる。そしてエクスが引きずっている剣を、グラオザーム目掛けて振り上げようとしたその時!!


 「死ねぇ!!!」


 履いていた靴を脱ぎ捨て、右足の先をエクス目掛けて勢い良く突き出す。よく見れば、足の爪も手の爪と同様に鋭く磨かれている。これには、グレルも驚きの声を上げる。


 「何という事でしょうか!!? まさか手だけで無く、足の爪も鍛えていたとは!!? このまさかの攻撃、さすがのエクスも対処しきれないか!!?」


 そして、その言葉通りグラオザームが突き出した足の爪は、見事エクスの体に突き刺さった。


 「決まったぁあああああ!!! グラオザームの攻撃が、遂にエクスの体を捉えた!!」


 「ヒヒヒ、このまま体を引き裂いてやっ……!!!」


 「…………」


 グラオザームの敗因は、エクスに猶予を与えてしまった事。不利な体制だからと言い訳し、切り裂くのでは無く突き刺してしまった。


 突き刺さず、切り裂いていればまだ勝ち目があったかもしれない。突き刺して、下ろそうと足に力を込める。この手間がエクスに一瞬の猶予を与えてしまった。


 グラオザームが、突き刺した足を下ろそうと力を込めた瞬間、エクスは振り上げようとしていた剣を、グラオザームの体にでは無く、そのまま突き刺さっている足に変更した。


 確かに爪は鉄をも切り裂く強度なのかもしれない。だが、それを動かす足が鉄よりも硬いかどうかはまた別の話だ。


 グラオザームの足は、あっという間に斬り飛ばされ、何度か空中を舞った後、少し離れた場所に落ちた。それから遅れて、斬り飛ばした箇所と斬り飛ばされた箇所の断面から血が滴り落ちる。


 「えっ……? あ……ああ……ああああああああああああ!!?」


 突然、何が起こったのか訳が分からなかったグラオザーム。次第に襲って来る痛みから、漸く自身の足が一本無くなった事に気が付いた。


 その事実にパニックを引き起こし、上手く立つ事も出来なくなり、バランスを崩してその場に倒れてしまう。この衝撃的な光景に、歓声が沸き起こる。


 「な、な、何と!!? 勝利を確信したその瞬間!! まさかまさかの大逆転!! あの残虐非道のグラオザームが今や見る影もありません!!」


 「ヒィ……ヒィ……た、助け……っ!!!」


 「…………」


 最早、勝負は決した。情けなく命乞いをするグラオザーム。すると、観客席から声が聞こえて来る。


 「……せ……」


 「「……ころせ……」」


 「「「……殺せ!!」」」


 「「「「殺せ!! 殺せ!! 殺せ!! 殺せ!! 殺せ!!」」」」


 殺せコール。客が望むのは、相手が死ぬ様。公平な立場である筈のグレルまでも、この殺せコールに参加している。


 「助けて……助け……て……」


 「…………」


 そしてエクスは、必死に命乞いをするグラオザームの首を切り落とした。いつもの様に……。


 沸き上がる歓声。観客席は歓喜に包まれていた。そしてエクスは何事も無かったかの様に、剣に付いた血を振って飛ばし、そのまま控え室へと戻って行くのであった。


 「圧倒的!! これがエクスキューショーナー、エクスの実力!! 一回戦から大盛り上がりのコロシアムトーナメント!! 続いて二回戦の組み合わせを発表します!! 二回戦の相手は……ガミーヌVSムスケル!!」


 エクスに続き早々、ガミーヌの出番がやって来た。

無事に初戦を勝ち抜いたエクス。

続くガミーヌは無事に勝ち抜けるのか!?

次回もお楽しみに!!

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